(産地の声)vol.1235 <知ることと分かることは違う> 2016.3.30
今、私に家に農大を出て間もない青年が農業がしたいと研修に来ています。出身
は東京で家業は印刷屋さんだそうです。
2月に種をまいた育苗中のナスが本葉を出して蒔き床がいっぱいになってきた
ので移植を始めました。床土をつくりポットに土を入れ移植です。床土の作り方や
水のかけ方を教えています。
農の仕事は、あんばいが大事です。水かけにしても見かけはかかっているようで
実際は鉢の底まで届いていないことがままあります。少なくとも3回はかけるこ
と、次にはポットをひっくり返し実際に水が回っているか確認すること、など。
先日も関わりのある研修先で質問されたのです。「朝水をかけても萎れてしまう
ので昼過ぎにもう1回と、一日に2回かけるようになってしまうのですが、、、。」と
のことですが、苗を植えた際の水やりが足りなかったと思われます。。
移植する場合はたっぷりと水をかけるのが安全です。ただし、根付いたらかけ過
ぎないように。鉢の表面が乾かないようにさっとかける程度でいい。最初が肝心だ
ということなのです。
移植するということは根を切られたりするので水をたっぷりかけ、根付いた後は
萎れない程度でかけ過ぎないようにして根張りの良い状態に持って行けばいいので
す。換気も良くして。
口で言ってもその加減はわかりません。実際にやってみて、やらせてみて、とい
う現場での指導がとても大切なのです。程度がわからないのですから、いっぱいと
はどれくらいなのか、ほどほどとはどれくらいほどほどなのか最初はわからないも
のです。
実際に体を動かして、土の状態を見て、その程度を体感することが大事です。そ
んなことを、仕事をしながら話していましたら、「本や知識で知っていることと実
際がどうなのかには大きな距離感がありますね」「知ることとわかることは違う」
そこがわからないと前に進まないです。
禅問答のようですが、分からないということが分かる人にならないといけませ
ん。知ってると言うレベルだと良い苗は育ちません。相手は生き物であり、その環
境は自然相手であって理屈の世界ではありません。
そこが分かってがっちりとした苗作りが出来るようになります。自然の中でたく
ましく育つ野菜作り目指して頑張れ!です。
おかげさま農場・高柳功
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高柳梓 (土曜日, 02 4月 2016 20:42)
いつも美味しいお野菜ありがとう!
お母さんと一緒に調理したりしています。
キャベツやレタスなどの生で食べる野菜も、スーパーで売ってるものとは違い、苦味もなくとっても美味しい!
これからも頑張って下さい〜!