(産地の声)vol.1264 <先週の続き?> 2016.10.26
今年の秋は野菜が高騰がたびたび報道されています。マイクを向け野菜の価格高騰で消費者が如何に困っているかを取り上げていますが、生産者が困っていることや異常気象の原因追及には及んでいません。本質には迫っていないように感じます。
私たち農に生きるものはある意味一切のごまかしはききません。土や太陽の恵みをいただいての仕事なのだから太陽が顔を出さなければ光合成はできないし。雨が降り続いた畑の水分を取り除くことはできません。
自然の摂理を変えることはできません。けれどビルの閉鎖空間の中で徹底した温度管理湿度管理をすれば無農薬栽培ができるとして、それが先端技術としてもてはやされる。また輸出産業としての農業へなどと国は言いますが、それでいいのだろうか、と首をかしげてしまいます。
30,40年前の有機農業や自然農の仲間たちと議論したことが思い出されます。それは、温室トマトの話となって、エネルギー効率からすると永続的ではないという。それは1Kclを得るために100kclが必要という試算だったのです。エネルギー効率から見るとこんな非効率な生産はないことになります。そしてそれは持続的永続的ではありません。命の継続が脅かされるのです。
何年前だったか忘れましたが、地球に届く太陽からのエネルギーで地球上の生き物は生きています。それが石炭や石油、ガスそして核エネルギーを使っての人間活動は増大の一途をたどり太陽エネルギーを超えたと言う話がありました。そうなると地球全体のエネルギーが充満して地球異変が起こってしまうのではないか、などといった議論もされたのです。CO2以前の問題です。
人間社会の欲望を満たすために過大なエネルギー消費で地球が耐えきれなくなっているのではないか。一方で、地球の酸素供給源である森林を絶え間なく伐り、開発と称し.て地球の循環を狂わせる。そんな時代になってしまわないようにするため是非とも循環永続する農業のあり方として有機農業、自然農へ向かわなくてはならない、と言うのが無農薬有機農業に取り組んで来た仲間達の一つの議論でした。
既に日本人の食の自給率は3割を切っていると言います。7割の膨大な農産物が厖大なエネルギーを使って運ばれています。お金の問題でなくエネルギーの問題です。そんなことは考えなくともいいのでしょうか。
おかげさま農場・高柳功
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