(産地の声)vol.1268 <冬の仕事、手作りの保存食> 2016.11.24
おかげさま農場の片岡です。高柳場長が不在のため、久々の登場です。
さて、11月は霜月と言われてますが、この辺では前半に1回霜が降りました。霜が降
りると寒さに弱い野菜は傷んでしまいます。
例えば11月から出荷を開始している春菊は寒さに弱く、そろそろ露地のものは出荷が
出来なくなります。そのため寒さに備えて冬の野菜はビニールトンネルやビニール
ハウス内で育てるものが多いのですが、寒さのおかげで雑草や虫の動きもほとんど
無くなるので、農家としてはホッと一息つける時期でもあります。
田んぼの畦や畑への道を修復したり、小屋や道具の修理や手入れをしたり。冬を越す
ために色々な食べ物も作ります。例えば、白く細長い漬け物用の大根があって、これは
たくあん用になります。天日干しをしてクニャクニャになったものを塩と糠で漬けるの
ですが、1回に仕込む量が大きな樽単位で仕込むので、干すだけでも大変な作業になり
ます。そのため最近では天日干しをしたものが道の駅や農産物直売所でも売られていま
す。また、高柳場長の家のように干さずに生のまま漬け込む家もあります。
1月になると露地の大根は傷んでしまうので、その前に大根を薄く千切りにして、
切り干し大根も良く作ります。
また高柳家で恒例なもので稲わら納豆作りもあります。今週末の「食と命の教室」で
みんなで実際に、わらを1本1本手で編みながら蒸した豆を入れる容器を作ることになっ
ています。私も毎年やらせて頂いていますが、昔の人はわらで何でも作っていたという
ことを実感出来ますし、何でも自分の手で賄っていた生活は素敵で美しく楽しいな~と
思います。
味噌も同様ですよね。我が家は知り合いの農家さんと味噌作りを5年ぐらいやってい
ますが、市販の味噌が普通に作っている手作り味噌と全く違うものだ、ということを
実感しています。というか、本来の味噌は本当に美味しいものなのですね。以前、味噌
メーカーの内側を知った時に、本来、自然に任せるのであれば8ヶ月ぐらいは寝かすの
ですが、スーパーの注文にいつでも応じられるよう、圧力と温度をかけることで見た目
だけは熟成しているように見える味噌を3~4ヶ月で作っているというのを知りました。
但し、熟成期間が本来のものより短いので、出汁を入れたり、アミノ酸を入れたりして
味をごまかしているんですよね。
今の時代は何でもお金を出せば買える時代になっていますが、基本的には手をかけれ
ば何でも手作り出来るものです。特に今は本来の作り方で作られた物が、さも特別なも
のとして高価な値段で売られています。全てを手作りという訳にはいきませんが、少し
でも自分の手で何かを作るには、冬は食べ物が傷みにくく失敗しにくいので、挑戦して
みるのにもってこいの時期だと思います。
おかげさま農場・片岡弘充
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