今年はさんざん

(産地の声)vol.1317     <今年はさんざん>  2017.11.9 

 おかげさま農場の片岡です。久々の登場です。今年は秋の異常気象で大変な状況になって

います。10月頭までは比較的天気が良く、葉物などが予定より早めに育っていました。とこ

ろが、10月上旬から始まった長雨で、もう畑はぐちゃぐちゃ。野菜の生育も一気に鈍化しま

した。

 

 一昨年、昨年とお盆過ぎから9月中旬にかけて長雨だったのが、今年は長雨が無く、「葉

物が早く育っちゃったよ」とある意味、ニコニコだったのが、一転しての雨続きで、「もう

雨はいいから何とかしてよ」に変わりました。最後には「ほんと、しょうがないよ」とみん

が同じことを言うようになりました。

 その結果、9月頭に種を蒔いた野菜は早く出来あがり、続けて出荷する予定で蒔いたもの

が悪天候で生育が遅れ、続けて野菜が出荷出来ず、いったん間が空いてしまいました。

 そして長雨で畑はドロドロになり、葉物も洗わなくてはいけなくなったり、特にこの辺は

サツマイモの大産地なので、サツマイモを掘りたくても掘れない農家さんが、小雨で決死の

覚悟で掘ってはみたものの、トラクターが畑に埋まっちゃって動けない、なんていう風景も

見受けられました。

 そして台風が来たことで、葉っぱは振り回され、葉先がすれて黒くなり、そこから枯れあ

がっていきました。塩害ということも言われていて、これを「葉っぱが泣いているというん

だよ」とある農家さんが教えてくれましたが、「私も泣いているんだよ」と苦笑交じりに話

していました。まだ小さな苗で生育中のものも台風被害で痛みが出たため、小松菜は1週間

ぐらいは出荷が休止になり、ホウレン草に関しては12月中旬まで出荷が出来ない、という被

害が出てしまいました。

 お客さんからは「ホウレン草は無いの?」と聞かれますが、出したくても出せないのです。

お客さんも大変でしょうが、それ以上に出荷をして初めて生計が立てられる農家が今回の被

害に一番泣いています。

 11月に入ってからはようやく天候は落ち着いていて、ほっと一息です。さあこれからは霜

が降りる前に遅れていた作業をやり切るため大忙し。特に、サツマイモや里芋などは霜が降

りる前に掘り上げなくてはいけませんし、生姜も冬が本格化する前に収穫を終えて室に入れ

なければなりません。かつてないほどの10月の悪天候という長いトンネルを抜けて、晴れ間

が続くと思われる11月。最後の冬仕事の時期です。

 

                  おかげさま農場・片岡弘充