(産地の声)vol.1324 <命を大切に、命に感謝です> 2017.12.27
当農場は昭和の最後の年に誕生しました。以来今年で30年目を迎えています。「食は命」を標榜し始めたのは、当時頃から食べることが何か本来の方向とは違ってきているのでないか、という疑問があるからです。
食と農はいわば表裏の関係です。(漁も含まれますが)お米や野菜を育てて(ここまでが農で)それを食材として私達の食があり、命があります。
生活が出来なくなることを、飯が食えなくなる、などと例えたりしますが、「食」は人間社会の生命線です。そういう認識から離れ、衣服などのものと同じようにお店にあれば良し、と言った感覚が蔓延し、天の恵み、自然からのいただき物と言った感性が薄れた時代になってしまったような気がします。
食の世界は、グルメを求めたり世界中の美味しいものをあさってみたり。また、それがさも進んだ事のようなブームをつくりだしてきました。
それでいいのだろうか、と思うのです。今日のTVで来年の花粉情報予測がなされていましたが、花粉症は4,50年前にはなかったことです。(少なくとも私達の周囲では花粉症など聞くこともなかったのです)花粉症だけでなくアトピーやアレルギー症などもそうです。またTVの話になりますが、CMで抗菌や除菌の製品宣伝をしていますが、私など「もし無菌状態になったらこれでまた人間は弱くなるだろうなあ!」などと思ってしまうのです。(もちろん程度はありますが。)
近代農法の中では、病原菌や害虫を駆除するために土壌消毒という手段が取られています。健康な土1gの中には億単位の微生物が生息すると言われています。その中で、害する病原菌や害虫はそう多くないと言われています。健康な土は微生物が豊富でバランスが取れている土です。
そんな中で化学農薬・化学肥料に頼りすぎると、土のバランスが崩れます。そして病気や害虫が増えるのです。悪い虫を殺そうとして土壌消毒(毒ガス)をするという事は、土の中の生き物の皆殺し行為です。そして、病虫害対策に農薬が使われると言う悪循環が繰り返されます。人間生活の除菌と土壌消毒はとてもよく似ている感じがします。
人間も自然界の一員と言うことを失念している時代ですが、そのぶり返しで医療費が40兆円だとなったら本末転倒なのではないでしょうか。年末にふさわしくない話ですが、一度私達の命はどこから来るのか考えて欲しいと思います。
来年もよろしくお願いいたします。 byおかげさま農場・高柳功