(産地の声)vol.1368 2018.10.31
10月も終わりです。今年の10月はさんざんな月でした。ほうれん草や小松菜、そして大根など風雨と台風に襲われて未だ回復していません。
先週、会員農家を回って畑を見て、話を聞いてきました。「今年は何というか、昨年も気候変動で調子が狂ったけど、今年は昨年と違った異常気象だよね!」という。
前にも書きましたが、私の三浦大根も復旧のめどが立たない作柄になってしまい、連れ合い曰く「今まで大なり小なり被害を受けてきたけど、今回みたいに全滅に近いなんてはじめてだね!」と嘆いているほどなのです。
こうした気象変化は、私たちの所だけでなく全国的なようです。市場は、野菜の品薄、価格高騰のまま推移しています。おかげで輸入物が好調なのだそうです。今現在の日本の農業者の平均年齢は、67歳を超えているそうですが、やっとやっている高齢者農業がどうなるか、世間はあまり心配していないようです。
農家が減って、その結果大規模農家が増えていますが、国は大規模化を推進してきました。その大規模化も現地から見ると、大規模化が良いからそうなるのではなく、高齢化と気象変動、そして経営の不安定さでやめてゆく経営体が加速度的に増えているから結果として大規模化しているように見えます。
そこに、農業の衰退が地方の衰退と妙にマッチしている様子が見て取れます。、日本という国が中央や大企業が肥え太り、地方は農業だけで無くコンビニなど見ていても、業績は吸い取られるばかりでますます衰退が進行する、と言う図式となっています。一体どうなるのでしょうか。
一方、新聞によれば、青柳文化庁長官が自民党本部で講演し、歴史や文化、自然との調和の上にこそ持続的な農業(=地方)が成り立つとして「日本は中小規模の農業を育ててゆかねばならない」と述べて、大規模化や市場原理一辺倒の農政に警鐘を鳴らした。という。
そして今日のニュースは、TPPの発行です。怖い時代が来たものです。公平で自由な、と謳っていますが、公平とは何でしょう?そこには、経済主義こそ見えますが、そこに働く人間がどうなるか、という考察はないようです。
私などは単純に、身土不二と言う考えからして不自然だな!と言う思いです。そこの生き物がどうなるか、ある意味興味はありますが、同調はしたくありません。皆さんはどう考えるのでしょうか。
おかげさま農場・高柳功