明けましておめでとうございます

(産地の声)vol.1376        2019年年頭に当たって    2019.1.9

 明けましておめでとうございます。

おかげさま農場も30周年を通り過ぎ、自分も数え年70歳という年を迎えるようになりました。命の誕生は、お母さんのお腹に宿った時です。ですから誕生したときは1歳として数えてます。

 

 戦後生まれの私たちが農業を始めて、約50年の年月がたちます。歴史的に見れば、60年代から始まった近代農法という軌道に乗り始めた頃に、私たちは農の世界に入ったことになります。

 つまり、化学肥料のありがたさ、効率の良いしかも生産が安定する?。そして病気や虫が出れば農薬という便利なものがあるぞ、というこれまでの伝統的農業とは全く基本が違う農法へと導かれてきました。

 しかしながら、これでいいのか、と言う疑問が湧きました。レイチェル・カーソンは「沈黙の春」という本を書き、農薬の自然生態系への危険性を指摘しました。核と同じく人間が制御できないものはやるべきではないと。

 そして、70年代には有吉佐和子が「複合汚染」という化学物質が環境中にばらまかれ、大気汚染、水質汚染、大地汚染が深刻となり警鐘の書となりました。 一方、ローマクラブという良識ある世界の学者達が「成長の限界」というメッセージを世界に向けて発信したことも注目すべきことでした。私自身も、「農業はこれでいいのか?」と自問しつつ農の道に入り、農の本質とはどういうことなのか?と考えつつ、いまだにそれが続いています。

 「おかげさま農場」で自然の摂理を基本に無農薬栽培に取り組み始め、当初は、近代農業が身についてしまっていたので、「できるのか?」とか心配し、周りからは「変わり者の集団だ!」と言われたり大変でしたが、皆さんの協力と精進のおかげで、何とか続けてくる事ができました。

 今後をどうすればいいのか悩んでいます。子々孫々のために今自分ができる事は何かなどと考えているのですが、自分の人生は頑張ってもあと10年あるかないか、などとも考えています。

 種田山頭火の詩に「いつ死ぬる 木の実は播いておく」と言うのがあります。だんだんその意味が感じられるような年になったようです。

 今年もよろしくお願いします。

                              おかげさま農場・高柳功