(産地の声)vol.1411 2019.9.4
「食と命の教室」と称して始め今年で6年目になります。無作為募集でやっているのですが、人が生きて行くことは食べ続けることです。人間に限らず生き物は全て、食べるという行為なくして生き続けることはできません。
正しい食べ方はあるのかないのか?正しい食べ方というのは、一口に言ってしまえば、生きているものを食べること、と言えるのではないかと思うのです。人が何をどう食べて生き抜いて来たのかというと、そういうことが言えます。死んだもの、生きていないものを食べた結果は全て自然淘汰という滅亡の歴史が刻まれてきました。一方、いつも腹一杯食べられたかというとそうでもなく、いつも7分、場合によっては6分くらいしか食べられなかった。食生態学の先生に言わせればそういうことです。
ですから人間は幾分飢餓状態の中を生き抜いてきた。その証拠に、食べられないときには体の機能が働き体の脂肪を燃やしたり、抵抗力や抗体力が活発化する機能を備えています。
それが現代は、飽食の世の中になっていつも腹一杯の夜になってしまった。しかも事務職とか、機械の発達によって、はたまたなるべく横着をしたいという人間の欲望がまさって動かず、食べ過ぎの世の中になってしまった。
人間の体は、ある程度の飢餓には対応できるようになっているけれど、栄養過多=食べ過ぎに対する機能は持ち合わせていない。従ってやたらと体に脂肪が付き中年太りが当たり前の時代になってしまいました。
脳疾患、心疾患、糖尿病、高血圧、ガンなどこれらの病気の一端に食べ過ぎがあります。つまり、それまでの時代の病気類は、病気にかかる=肺炎や肺結核と言う病原菌など外敵によるものだったのが、ひっくり返って自分の体の中から変調をおこす病気が急伸長してきた時代になってしまったといえます。
それに、水俣病やイタイイタイ病などから始まる地球に存在しなかった化学物質を人間が作り出し、発病する時代へと変化しました。アトピー、アレルギー、花粉症など、私達が世に出た時代は無かった病気です。
食べ過ぎと、食べ物でない化学物質を体に入れる時代になってきたと言うことです。食と命の教室では、私達の食べる命ある物がどのように育つのか、学ぶための体験教室でもあります。参加者の感想を伺うと、今の食生活でいいのか、今の生き方でいいのか、自然、環境に対する気づきが始まっている感がします。
byおかげさま農場・高柳功