広がるウイルス

(産地の声)vol.1430                    2020.2.4

  ウイルスが広まっていますが、今後の展開が心配です。

 グローバル化ということは世界中の物や人は行き交うようになることですが、それは良いことだけでなく病気や害虫を持ち込む側面もあります。

 

 それが今回のウイルス流行の問題でもあります。農の世界では、既にこの50年でいろいろなことが起きています。これまで日本になかったトマトにつく害虫=温室コナジラミは普通にこの国に定着してしまいました。

 それだけでなく、かってみたこともない害虫、雑草なども繁殖をくり返し、定着してしまっています。人間より先に害虫や病気が農の世界(自然界)はパンデミック状態になっているのです。

 それを農薬を使って退治しているとも言えます。小さくなるほど繁殖力が強くかつ抵抗性の変種が登場して、とどまるところを知りません。典型的なものはアブラムシです。アブラムシは慣行栽培の場合は防除マニュアルによって防除は始まるのですが、栽培期間中は最初Aと言う農薬をかけたら次はBと言う農薬に変えて、3度目はCと言う農薬に変えて散布する、と指導されています。

 それは、どんな農薬をかけても必ず耐性ができて生き残り、効果が及ばなくなるからです。ウイルスも変化し続けるので今度のコロナウイルスのワクチンは今はないと言うことになるのでしょう。

 グローバル化でこの国には物や人が世界中から集まってきています。私達の食べるものだけでも小麦800万トン、トウモロコシやマイロ(これは飼料として)が2千万トン、大豆400万トン、お米100万トンその他野菜や果物、肉類、そして魚介類などを合わせると5千万トンを越えるかも知れません。

 通関の際、検疫官が検査をしているということになっていますが、数百人程度で5千万トン全部見ることは不可能です。豚コレラやにわとりウイルス、かっての狂牛病などはその流通経路さえ分からないままです。

 私のキュウリやトマトなども時々アブラムシに襲われますがそんなときは静観するしかありません。その前に連作をしない、土つくりなど環境を整え、作物が抵抗力がつくように育てます。全滅することもありますが致し方ありません。

 それでも元気になるようにすると、いったんついたアブラムシもいつの間にか消えて(傷跡はつきますが)盛り返します。人間も同じではないかなあ、と思うのです。 

                      おかげさま農場・高柳功