食の生態史

(産地の声)vol.1448                     2020.6.10

   今の時代は日本中が同じ食形態となって食べ物の食べ方によって短命、長寿が解らなくなっていますが、50年くらい前までは地域の移動も少なくグーローバル化してなかったので、地域的な食形態の実態が伝統的な形で残っていたので短命地域や長命地域を調査することによってその違いを知ることができました。

 

 グローバル化以前の日本人の暮らしは、地域でとれたものを食べて暮らしていました。伝統色というのはそこで生活するために必要な食べ物の確保と調理方法の積み重ね、経験から編み出され地域の食文化として定着してきました。

 以下、西丸震哉氏の50年前の長寿食は存在するか、の項の抜粋です。

 ・・・・・同じような地域で長寿のところと短命なところを比較検討すると長寿食といわれるものは何かがいくらかは解ってくる。例えば、米と魚ばかり食べているところは短命となり、海藻や大豆、ニンジンなどの野菜をよく食べるところではかなりの粗食でも長生きになる傾向がある。

 野菜不足は心臓障害が主疾患となって短命につながり、脳卒中が主因で短命な地区では海藻を常食としている集落だけが例外となる。食生活が近代化すると栄養的には向上するから人間を長寿に向かわせそうだが、単にタンパク質過食だけの向上ならばむしろ粗食の方が無難で、腹一杯カロリー十分、運動不足で脂肪の沈着、心臓の過労、タンパク過剰による糖尿病、ガン、すべて短命につながる。

 どうやら食生活の満足が大きいと一生の楽しみを先取りするというだけで、満足の総量は変わらずに終わって、はやばやと一生をすませなければならなくなることのようだ。・・・・・・以上<食の生態誌>抜粋

 食の世界もグローバル化して久しいですが、以前は地域によっての食の違いを研究することができましたが、今では世界中から食材を持ち寄り様々な農薬や食品添加物(毒と化学物質)が入り込んで、しかもハンバーグやチキンなど世界標準のものがあふれかえっていますので、何がよくてどのような食べ方がよいのかが解らなくなってきています。(残留基準があるが、安全とイコールではない)

 近年やたらと横文字の食がもてはやされていますが、日本人が培ってきた和食という伝統食を、そして先人が経験を積み上げてきた食の有り様をもう一度学ぶことが必要が気がします。そして野菜や海藻などを常食することが肝腎なところであり、同じ野菜でも有機的な野菜を食べることがより良いのでは、と思います。

                                                        高柳功