神嘗祭です

(産地の声)vol.1464                    2020.10.14

 先週には、今年の野菜は順調と書きましたが、どうも怪しくなってきました。小の雨続きの天候で成育が思わしくありません。同時に急な気温低下です。

 太陽が出ず、低温と雨続きという天候は野菜たちにとって不利な環境です。植物にとって唯一生産の始まりは太陽のエネルギーを取り込むことです。

 

 大地に根を張り、炭酸ガスと水を使って、葉緑素の働きによってエネルギーをため込み、実りになります。その肝腎な同化作用のおおもとが太陽です。天候が回復して太陽が地上を照らしてくれることを祈っています。

 話が変わりますが、17日は当地のジンジ(神事)の日です。日本の神社の多くの10月17日は、神嘗祭(カンナメサイ)の日として神様にその収穫物を捧げるようです。

 ウイキペディアによれば、神嘗祭は・・・稲づくりは天つ神の命令、委任を受けた業である。そのため、収穫は自分(天皇)のものではなく神のものであるということから、まず新穀を神々に献じ、「残をば」いただく、という神勅の精神にのっとった祭祀であるといえる」となっています。

 当地では、この日この家で生まれた人が集まり、新穀で麹を作り甘酒にして、神棚と氏神様にあげます。そして一年の収穫に感謝し、日頃の近況を語り合い、一日を過ごす日でした。

 最近は、こうした行事をする家も少なくなりましたが、我が家では相変わらず麹を作り、甘酒を造り神様にあげた後、皆でいただきます。

 その麹作りをいくらかでも体験したいと、食と命の教室の皆さんが言われるので先日仕込みました。お米を蒸かしてみんなでワイワイと吹き上がったお米をほぐして麹菌5gを二升のお米に均一にまぶします。

 例年だとこの季節はちょうど良い気温なので殆ど加温もせずに発酵が進むのですが、翌日見たら発酵が進みませんでした。温度不足です。

 急遽、こたつの中に入れて暖めました。今度はうまく発酵が進み何とか麹が出来ました。例年だと味噌用の麹作りもします。その場合一斗五升の量ですのでムシロを使っての麹作りなのですが、今回は甘酒だけの量なので二升のお米です。こたつに入る量なので何とか挽回できたのです。

 市場ではこの天気で生育が進まず野菜の品不足、高値のようですが、いたしかたありません。天の動きが地上全ての命の源を握っているのですから。

                  おかげさま農場・高柳功