動物にも人間にも

(産地の声)vol.1470                    2020.11.25

 コロナウイルスが再び蔓延し始めているようです。一方、家畜では鳥インフルエンザも発生し始めています。四国と九州方面の養鶏場のにわとりが数十万羽と殺処分されています。周囲10㎞は採卵鶏と卵の移動が制限されました。

 

 にわとりや豚や牛の伝染病が出たらその舎のものは全て隔離と殺処理されてしまうのに、人間は処理するわけにはいかないのです。

 仲間から「小カブにヨトウムシが付いて出荷が危ぶまれるので承知しておいてほしい」と連絡がありました。ヨトウムシは、夜盗虫と書きますが、夜活躍する虫で朝方、圃場へ行くと、地際の根と茎の境を噛み千切ってしまうのです。ですからその株はおしまいになってしまいます。

 そして、その株を全部食べるのではなく株元だけを食べ、次の株に移って次々と株倒しをしてゆくのです。葉を食べる虫よりたちの悪い虫なのです。今時は寒さと虫除けにパオパオと呼ぶ薄いカーテンのようなもので被覆するのですが、その中に入られているとやっかいです。虫をよけるのではなく虫を飼っている状態となってしまいます。

 覆いを掛けて安心していたと思っていたら被覆材の下で虫が繁殖していたとなると悲惨な状態となります。そんな風になっていたということでしょう。

 そうでなくとも無農薬栽培をするということは、状況が許さない場合は、その作付けはあきらめるという選択肢しかありません。

 話しがいろいろになりましたが、にわとり、豚、牛の場合は、罹患していない牛であろうとその鶏舎、豚舎、牛舎の全てが処分対象となっています。

 「動物はエリア全ての生き物を皆殺しにするのに、なぜ人間は違うの?人間はワクチンや治療で助けるのに、飼っている動物は全部殺しちゃうの?みんな同じ地球の生き物なのに」と言う子供の問いに戸惑いました。

なんと答えればいいのでしょうか。

 人間本位に考えれば、人間はそういう動物とは違うといえばいいのでしょうが、地球上の全ての生き物を大切にしよう、などといっている自分としては割り切れなさが残ってしまうのです。

 「そんなこと悩まないでいいのよ!」と言われます。その通りだとも思いますが、たった一つわかることがあります。生物も人間も密になると病気が発生しやすくなり、ウイルスなども感染しやすくなるということです。都市化という生き様を考え直す時代になったのかも知れません。 byおかげさま農場・高柳功