(産地の声)vol.1534 2022.3.9
食は命を標榜するおかげさま農場ですが、今ウクライナで起こっているロシア軍の侵攻は何なのでしょう。命の大切さを分かってほしい!
武器を持って他国に侵略する正義などあるのでしょうか。昔「どんなに正義があろうと強制されたものは正義とは言えない」と教えられたことを思い出します。
また戦争は殺人を正当化する手段という性質を持っています。私の叔父は太平洋戦争で亡くなりました。農業は平和でないと成り立たない仕事です。大地と自然の恵みで営むなりわいなのですから。
ハラリのホモサピエンス全史でも書かれていましたが、人類はいったん滅亡するだろう。そこで大国の保有する核兵器が何らかの理由で使われる可能性も論じていましたが、まさにその恐れがないとも言えない報道に戦慄します。
放射能汚染は人間に制御できないものです。福島で有機農業を目指していた人たちが何年もかけて土作りをし、手塩にかけて環境作りをした所に原発が爆発し一瞬のうちにそれまでの苦労を吹き飛ばしました。
地道にコツコツと土作り環境作りをし、人間の命のための米作り野菜作りをしている人たちがいる一方で、核兵器を使用するのも辞さないと言う現実をみるとなんと人類は愚かなことなのだろう、と思います。
時代が進むにつれて科学が発達し、テクノロジーが生活を豊かにしてきましたが、人間という生き物はむしろ劣化しつつあるのではないか。そうとさえ思えます。世界の指導者が勢力争いや権力指向に陥っている姿にも落胆を覚えます。
そういう激動の世界ですが、私達は目の前の仕事があります。人参やジャガ芋の作付け、夏野菜の育苗、稲の種蒔き準備など、春を迎えて忙しい季節に入っています。何であれ食べなければ生きてゆけないのですから、必須の仕事です。
紛争の中で小麦やエネルギーなど値上がりが続いています。当農場の使用資材も有機質肥料や段ボールなど各種資材は軒並み値上げの通知が続いています。
自然は人間どもの騒動に関係なく、春を感じて命が躍動し始めています。前にも書きましたが、あぜ道にタンポポが咲き始め、蕗の薹も出始め、梅の花も満開になって春を告げています。
自然の生き物にはなくて人間だけにある欲望。食欲、性欲、物欲、そして権力欲、これらは際限がありません。自然の生き物は自分が生きる以上の殺戮はしないというのに何なのでしょう。 おかげさま農場・高柳