(産地の声)vol.1565 2022.10.13
おかげさま農場の片岡です。今日は11月中旬並みの寒さという予報が出ています。9月は結構気温が高かったので、「種を蒔くのを少し遅らした方が良いのかな?」と思ったことがあったのですが、メンバーの1人が「暖かいと思ったら急に寒くなったりするから、結局、いつも通り蒔いた方が良いんじゃない」と助言してくれて例年通り蒔いたのです。それが正解でした。
今日もそうですが先週後半はとても寒かったですね。1934年以来の寒さだったそうです。うちの息子が「温暖化なのに何で寒いんだろうね?」と疑問に思っていましたが、気温上昇は中長期の問題で、日常では気候の不安定化が問題なのです。30年前ぐらいから、アメリカなどではある地域は大豪雨だけどある地域は大干ばつで地面がひび割れしたり森林火災が起き始めました。最近の日本で言えば一部の地域に信じられない程の雨が短時間で降る局所的豪雨ですね。
温暖化といってもそう簡単に気温は上がるわけではなく、CO2の量が増えるとその分、CO2を欲する植物が増えることでと自然生態系はバランスを取っていたのです。そのCO2を吸収してくれていた植物の中心は、海面を漂う藻でした。藻に限らず、広大な海は莫大なCO2を吸収していてくれました。そして莫大な水量のおかげでそう簡単には水温は上がらなかったのです。
ところが最近、海の様子がおかしいと調べたところ、海底を流れる冷たい深層流の温度が上がってきていたのです。本来、海面と深層では温度差があり、この温度差が対流や海流を生んでいたのですが、全体の温度の差が縮まってきてしまったことで、海流のゆるやかになり、勢いが無いので今までとは違って大きく蛇行するようになってきて潮流がおかしくなってきています。かつ、温度が上がるとCO2の吸収量が減るという性質が水にはあるので、今まで蓄えてきたCO2も放出するようになってきています。
これが大気にも起きていて、一番は偏西風、つまり大陸から吹いてくる世界規模の勢いがある西風が、気温差が減ることでゆるやかに大きく蛇行するようになったのです。例えばヒマラヤ山脈が壁となっていた北の大寒波がゆっくりとインド北部まで入り込んで停滞してしまう。これに似たような事が先週は日本でも起きたんですね。つまり、日常的な地球温暖化の問題は、暑さと寒さ、豪雨と干ばつが不規則に局所的に入り混じる、不安定な気候が問題なのです。
これに一番影響を受けるのが農を始めとした第一次産業です。そして第一次産業の不安定は衣食住といった生活基盤を脅かします。ITで生産性を上げて収益力を上げよう、という世界とは全く違う話なのです。そして人が生活基盤を脅かされると政情不安になり食物争奪戦や戦争など世界規模の問題へ繋がります。そういったところが温暖化の問題とも言えるのです。
おかげさま農場・片岡弘充