野菜が出来すぎて安いけれど

(産地の声)vol.1575 一農家のつぶやき。         2022.12.21

 9ー11月の気候は過去100年で高温だったと言うが、12月になって一気に寒気が押し寄せ北陸から東北にかけて豪雪に見舞われている。専門家の説明によると温暖化の影響が豪雪を招いている、という。

 

 温暖化と厳冬とは矛盾するようだが、日本海に流れる対馬海流の海水温度が温暖化によって、より降雪量が増えてしまうと言うことらしい。地球温暖化は、あたたかくなると言うことだけでなく海水温度を上げてしまい、かえって冬の寒気で降雪量を増大させてしまっている。この現実をどう捉えたらいいのだろう。

 一方、野菜が出来過ぎ安値安定になっている。先日、連れ合いとスーパーを除いたら、ほうれん草や小松菜などがとても安く売られていた。

 私は農家の側からものを見るのだが、これでは農家はやってられないだろうな、と思う。採算はとれないだろう。それでも収穫し荷つくり出荷するのが農家だ。いろいろな思いはあるだろうが、時間をかけ畑を作り、種を蒔き管理して育てたものを廃棄するのは忍びない。そんな思いなのだろうと思う。

 仲間と語っていたことだが「豊作貧乏と言うことがあるけど、一生懸命作って良品でいいものができたのに市場で買いたたかれ、天候不順でとれなかった時はB品でも高くなるなんて矛盾するよなあ」などと話したことがある。

 そうした矛盾と不安定な収入だと後継者は敬遠する。結果、今の日本の農業者の就業平均年齢は70歳となっている。これからの日本人は誰が作ったものを食べるのだろう。お金を出せば買えるものだと思っているのだろうか。そんなに甘くないと考えるのだが、如何か、、。

 フランス人は農業問題?となると、国民的反応として自分たちの食の問題だと関心を示す。日本人は農業問題を農家の問題だとしか受け止めない。こうした国民性の違いはどこから来るのだろう。

 話変わって、厳冬の年になりそうだ。なので冬の旬の野菜をたっぷり食べてほしい。根菜類は体を温める。サツマイモ、里芋、ごぼう、ジャガイモなど。それに白菜やほうれん草、小松菜、小カブなど温野菜にしてたっぷり食べましょう。

 真冬に生き抜く野菜は、真冬を生き抜く生命力がある。季節ごとに生命力を発揮する野菜を食べることが旬を食べると言うことなのだろう。

 そして大自然の恵みがあってこそ私たちの命があることを忘れないでいたい。

                     おかげさま農場・高柳功