(産地の声)vol.1586 一農家のつぶやき。 2023.3.15
3月も中旬となって春一番と呼ばれる風の出現する季節になってきた。2日前、畑地帯にある資材屋さんに出かけた。我が家はどちらかというと田んぼ地帯。それほど風が強い感じではなかった。
それが田んぼ地帯を抜けて畑地帯に行ったら急に赤土が舞い上がり、先が見えない程の強風に見回れた。北総地帯の畑は軽く粒子が細かい火山灰土だ。なので猛烈な風が吹くと途端に土埃となって舞い上がる。ホワイトアウトと言うことがあるが、こちらはレッドアウト?で10m先が見えないほどだった。
となり町に県の畑作試験場があるのだが、そこでの研究結果では一年間に8mmの土が吹き飛ぶという話を聞いたことがある。1反の面積(約千平方メートル)でほぼ8トンの量である。10年で8センチになる。
地球的規模でいうと地球の三分の二は海で陸地は三分の一になる。その陸地に地球の動植物が生態系を作っているのだが、それは表土(耕土ともいう)に依拠している。そしてその厚さはならして言えば18㎝程度しかないという。8センチの表土が吹き飛ぶとなると大変な量である。耕作地にとって大きな損失となる。
かの米国では国土保全庁が風水害によって吹き飛んでしまう表土を守るために、50年計画などという長期の流失対策を講じていると言うが、この国では全くそんなことは聞かない。
当地方はその風で、広い畑などでは平らだった畑が船底のように真ん中がへこみ周囲が高くなっている畑をよく見かける。吹き飛んだ土は山林や建物そして低地に飛んでしまう。
ジャガイモを植え付ける予定だったが余りに風が強いので様子見してたのだが、風が収まったと思ったら雨が降って中止。結局翌日の昨日ようやく植え付けを始めることになった。昨年より1週間遅い植え付けとなってしまった。
今植え付けると6月下旬以降が収穫時期になる。ジャガイモは冷涼な気候を好む。生育後半に高温になると生育が終わってしまう。高温で枯れてしまうのだ。穏やかな30度以上の気温にならないような気候であってほしい。遅れた分だけ高温にさらされる恐れがある。
農家はお天気仕事と言うが、その通りで天候次第で出来不出来が決まってしまう。7日は村のオビシャの日だった。うぶすな神社に氏子である10カ村が五穀豊穣と天下太平を祈願する日だった。自然の営みには願うことしかない。
おかげさま農場・高柳功