(産地の声)vol.1590 一農家のつぶやき。 2023.4.12
ムラの田んぼは代掻きが始まった。耕した田んぼに水を入れドライブハローという機械でかき回す。田んぼの土が水を含み砕けてゆく。いわば泥状態にして植え代を作る作業となる。
さらに田面は水平となるようにしなければならない。昔教えられたのは高低差3センチ位に平らにしろ、と言うことだった。水管理をする場合同じく水深3センチの管理を求められたものだが、平らでないと水を入れた時、浅いと苗が田面からでてしまい、深すぎると苗が水中に潜ってしまう。1反歩に3センチの水深で水量は30トンになる。我が家の水田は5町歩だから1500トンの水が使われることになる。
なのでともかく水平になるよう高いところは削り低いところは土を盛るようにしないと平らにならない。当地の田んぼは長さが70メートルはある。手前と先の方が同じ高さを持つようにするのは並大抵ではない。
毎年やっているのだから同じと思うかも知れないが、これが中々難儀で毎年整地作業が続く。水を張っての代掻きだから水平かどうかは土の出具合でわかる。ともかく水平に仕上げることが求められる。
先月に蒔いた苗も遠くから見ると芝生のような緑一色になってきた。毎回書いているが、我々農家は種を蒔いた瞬間から、作物の都合に合わせて仕事をするしかない。他の仕事のように人間の都合優先というわけにはいかない。
自然の営みというが自然の生命、成長に合わせて段取りをしないと良い結果がでないのだ。遅れると苗の老化が進み思ったように生育しない。
田んぼだけでなく、育苗ハウスにはトマトやなす、キュウリの苗も植え付けを待っている。仲間の畑のニンジンやジャガイモなど一日一日と成長著しい。
そんな春の圃場だが、毎日の出荷=宅配などの野菜が端境期にさしかかっている。当農場の宅配=おまかせセットは10品を基準としているがその10品が間に合うか、心配だ。
話変わって今日のご飯は、野草の天ぷらだった。娘が摘んできたもので、連れ合いに「これは何だ?」と聞いたら「よく分からない」と言うことだったが野草もまんざらではない味だった。とはいえお客さんには野草を届けるわけにはいかない。タケノコができてきたが、これも栽培している訳ではなく、お客さんに分けるほどは確保できない。野草やタケノコを食べたいと思ったら現地にお出かけください。 おかげさま農場・高柳功