(産地の声)vol.1591 一農家のつぶやき。 2023.4.19
先週も書いたが、田んぼの話。我が家もとうとう代掻きが始まった。
トラクターの作業機であるロータリーを外して、ドライブハローという代掻き専用の作業機に取り替える。一年の間があるので、取り付けが終わったら作業前整備となる。ちゃんと作動するか点検する。ドライブハローは、幅3メートルある。そのままでは道路を走れないので、折りたたみ式なのだ。三つ折りで、真ん中が1.8mで両脇に60センチ分が折りたたみ式になっている。
作業するときは、その折りたたんだ分を広げて3mとなる。その操作はリモートコントロールとなっていて、コントローラーのスイッチを押すとウィーンと広がり、また、たためることになる。
折りたたみ部分は力のかかる可動部分なので、グリースオイルを注入して動きをよくする。グリースポンプで注入しようとするが入らない。これがグリースニップルという部品が不具合だろうと、買い換えたのだが、これがやっぱり注入できない。農機センターに電話して処方箋を聞いたのだが、修理は簡単ではないという。応急修理でCRCオイルで間に合わせるしかないという。あちこちスプレー式のオイルで注油して何とか動くようになったので早速田んぼへと、代掻きの初日だった。水を入れた田んぼにあちこち土塊が見えるところをドライブハローで歩くと、泥田が、一面平らになってきれいな水面が浮かぶ。泥田を代田にしてゆくのは醍醐味だ。
ドライブハローをつけてなおかつ湿田車輪をつけるとトラクターの装備が大げさになる。なので、なるべくなら道路を歩きたくないので、お昼に迎えに来てほしいと娘に電話したら、「わかった迎えにいく」と言うことだったが、数分して「お母さんが弁当こしらえたから持ってく」と笑いながらいう。要するに家に帰ってご飯を食べようとしていたのだが、田んぼでお昼を食べ、そのまま仕事しろ、と言うことらしい。我が連れ合いは、休ませようとは思わなかったようだ。ま、成り行きに任せるしかないか、と思った次第。おかげで仕事は進んだ。
田んぼの代掻き中に2本の電話があり、「田んぼに入りたい」という。「来たいときに来て田んぼで遊べ」といっておいたので、数日中には来るらしい。
広い野原の田んぼは気持ちがよく、開放感に浸れる。都市の煩雑な風景とは違う世界だからだろうか。なぜか一度体験をするとまた訪れる人が多い。我が家は、来る者は拒まず去る者は追わず、の方針だから一向に構わないのだが・・・
おかげさま農場・高柳功