(産地の声)vol.1595 一農家のつぶやき。 2023.5.17
新ニンジンが登場した! しばらくの間、葉つきニンジンが食べられます。
ニンジンについて少しばかりのエピソードを想い出す。それは10年ほど前のことで、千葉市の中央区でアースデイマーケットに参加したときのこと。若いお母さんが「子供が野菜嫌いにならないようにしているんですが、どうしても人参を食べない。煮たり炒めたりいろいろと工夫しているんですが・・・」と言うことで人参を買っていかれた。
月1回の開催イベントだったので、翌月の会にまたそのお母さんが来られた。そして「目からうろこでした!ここで買った人参を子供が抵抗なく食べたんです」という。
無農薬や有機栽培の人参は、慣行栽培のものとは違う。なぜ違うのか分からないのだが、確かに違う。あるとき、業者さんがおかげさま農場の人参と市販の人参を食べ比べしよう、となってジュースにして飲み比べになったが、本当に違うのだ。その時20数人が参加したのだが、皆さん一致した感想だった。
始めて飲んだ人の感想は「砂糖が入っているんですか」とか「本当に人参だけのジュースですか」と言った反応をいただく。目の前でジューサーで飲んでもらうのだから嘘も隠しもない。多分、自然栽培のものは、自然の力で育ったので自然界の一員である人間にとっても抵抗なく食べられるようになるのかも知れない。
おかげさま農場を始めて35年になるが、私自身のことを言うと、無農薬も普通栽培もそんなに変わらないと思っていた。人参もあまり好きでなかったし長ネギなどもあんまし好きでなかった。
ところがである。無農薬有機栽培で自分で作るようになったら、抵抗なく、かつ美味しいと感ずるようになってしまったのだ。
当農場での無農薬を謳ったのは、どちらかというと化学物質を使わないこと=それが自然環境を守ることであるし、化学毒を食べないことになると考えていたのだったのだが、その味や品質にそれほど違わないと思っていたからだった。
分かってきたことは、そうしたことだけでなく、自然の摂理、自然の生きた土で作ると人間の方も自然と受け入れる食べ物になるのではないか、ということだ。
人間も自然界の一員。近年、保育や幼稚園の先生方がオーガニックの食べ物を食べさせるようになったら、発達障害の子や引きこもりの子が改善されるようになってきたという。<人間は食べたものでできている>機械ではない。
おかげさま農場・高柳功