(産地の声)vol.1597 2023.5.31
ここのところ暑くない。夜温が10度台で夏野菜が生長しないのだ。
キュウリが出来はじめたのだが、注文の3分の1も採れないのだ。お客さんに出荷できないことを伝えると、「えらい勢いで言われてしまった!」と事務のパートさんに聞いた。「それでも採れないものは採れないんだ。天候だけはどうにもならないと伝えてちょうだい」と言ったのだが、収まらなかったらしい。
でもしょうがないんだなあ!。工業製品ならいざ知らず、天候相手であり、生き物は調整がきかない。
今日のTVで卵の値上がりがすごいなどとやっていたが、仕方ないのではと思う。どうも日本の報道機関は消費の側からしか目を向けない感じがする。生産現場がどうなっているのか、食の現場は自然の中で、天候に左右されながらの仕事と言うことがちっとも理解されていない。
国は、食糧安保政策で、世界的に食料が高騰しつつあること。異常気象が続くこと。そして人口増という世界の動向の中で、増産指示できるよう法整備を行うことを考えているらしい。
これなども農の側から見ると、まったくご都合主義で誠に勝手なことだと思える。お米にしても、採算割れしている米農家がでているというのに、減反や飼料米転換などの政策をして、尚、主にアメリカからの輸入米については、国内で余ろうが75万トンも輸入している。外国には約束ごととして輸入をし、国内農家には減反、調整政策なのだ。牛乳にしてもお米にしても大型化という政策資金提供しておきながら、尻拭いは結局農家になっている。
お米だけでなく、農村の状態を瀕死の状態に追い込んでおきながら、危機的なのだからと、国が増産指示しようというのだから話にならない。 先進国で最も低い自供率に何の手も打たず、スローガンだけの実態できたのにどう対処するのだろうか。
また、夕方、農仲間が来て、国はパート賃金を上げる政策をとっているが、「千葉県の時給賃金は千円近くなっているが、雇用したら経営破綻してしまうよな」などと語っていたが、そんな実情では農業をする人がいなくなってしまう。後継者が農業を見限っている現状を分かっているのだろうか。
残念だが、EUやアメリカのように経営体の維持のための政策をとらないできたこの国のつけが国民に回ってくるのではないか、無策の政策にとても心配に思う。
おかげさま農場・高柳功