何も入っていないせんべい

(産地の声)vol.1598 一農家のつぶやき。         2023.6.7

 ここ北総地帯は、日本で有数のサツマイモの産地になっている。近年は隣の茨城県に追い越されたようだが、市場ではトップクラスに位置づけされているようだ。この成田市大栄地区は畑の半分以上がサツマイモで5月から6月にかけてその作付けに忙しい時期だ。

 

 飛行機からこの地域を眺めるとど、ポリフィルムでマルチングがされた畑が一面に輝いているのがよく見て取れ、サツマイモ畑というのがよく分かる。

 要するに植え付けの真っ最中で忙しいのだ。芋を植え付けるには、芋苗が前提となる。早くは2月あたりから元苗を苗床に植え、それを育成し分枝を出させる。枝わかれさせて、植え付け苗を数千本数万本用意する。

 そして育った苗床から一本一本切り取って畑に植えるという手順となる。その前に畑の準備=施肥耕耘そしてマルチングをして植え付け準備が整い、苗が育ったところで植え付けとなる。

 というサツマイモの仕事だが、一方でジャガイモや人参の収穫時期となり、多忙の連続となる。田んぼも植え付け後1ヶ月経っているので畦草もでて草退治の時期でもある。毎日の水管理もあり肝心な時期なので気が抜けない。

 我が家のキュウリやトマト、ナスなども実り始め、夏野菜は毎日収獲しないとならないので休めない。天候不順で収量がいまいちなのだが。

 と気を取られていたら、麦もすっかり色づき刈り取りの時になっている。菜種もはじけ始まって、こちらも刈り取りををしないといけない。菜種はほっておくとみんな弾け落ちてしまう。すぐにでも刈り取りをしないと収穫不能になってしまう。

 そんな中、おせんべい屋さんから連絡があり、焼き上がったからと東京まで受け取りに行った。自分の無農薬米で、お醤油も速醸醤油ではなく、昔ながらの手抜きのないお醤油を使って添加物なしのおせんべいなのだ。市販のはいろんなものが使われていて食べたくない。当農場のパートさんが、市販のおせんべいは「食べられないの。そのおせんべいは食べられるのよ」という。

 直売所で「お客さんが100袋ほしい」というので、なんだそりゃと聞いたら、佐倉市の方のお客さんで、パートさんと同じく「市販のものは食べられない。ここのだけは食べられるのでほしいんです」という。

 市販のものは裏書きを見ると確かにいろんな添加物が入っている。食品工業が発達することは、自然から離れていくことのなのかなあ、と思う。そこが問題なのだ。                    おかげさま農場・高柳功