(産地の声)vol.1612 一農家のつぶやき。 2023.9.13
お客さんから台風被害のお見舞いをいただいた。その文言にこころが和む。
日本の各地で豪雨被害が発生しているが、当地もその例に漏れない。千葉県でも県南から県東ににかけて今までに例のない降雨量に見舞われた。土砂崩れや床上浸水など日常が破壊されるのはやりようがない。
それほどではないけれど、当地も台風13号で相当の雨に見舞われた。成田という地は、成田空港のある所という点では全国に知られた所だ。そういうこととは違って、北総地域にあって、空港を境に北は利根川方面に川が流れ、南は太平洋に川が流れるいわゆる分水嶺の地なのだ。
当地は、その利根川の支流である大須賀川の沿岸に馬蹄形に入り込んだところが田んぼ地帯となっている。そんなんで谷津田と呼ばれる形態の地形の田んぼとなっている。
台風13号に伴う雨雲は午後から深夜にかけて降り続き、その大須賀川の堤防が見えなくなるほどの雨量となった。幸い住宅に影響はなかったようだが、田んぼの畦も水没し、堤防も見えなくなり、刈り残された稲も見えなくなった。
当地の大方が刈り終えた田んぼだったが、川沿いの我が家の田んぼには、これから稲刈りの田んぼがあった。水流は刈り取られたワラを運んで我が家の稲田に流れ込んだ。そして水が引き、厚さ50センチにもなるワラが刈り取り前の稲に残された。人力では始末しようのない状態で、その場の刈り取りは諦めるしかない。各地の土砂崩れや床上浸水などからすれば、まだ被害は軽い方だと思うしかない。
かってこの産地の声で盛んに異常気象のことを書いていた記憶があるが、あまりにも異常が続き、書かなくなったら今度はそれ以上の異常気象が続くようになってしまった。人間の行為が地球全体を覆い尽くした世紀ということで、人新世の時代と言うらしいが、言い得て妙がある。
残された田んぼには雑草が生い茂り、稲刈り前に、雑草刈りをしての稲刈りである。近年、今までになかった雑草がはびこり、茨城から来た農家も同じだ、という。グローバル化が進み、世界中から害虫、病気、雑草が持ち込まれている。
水田の雑草と言えばヒエが大敵だったが、今は名前も分からない草が生え始めている。ヒエの出た田んぼなんて可愛いものだ。外来の草は草から木になるのだ。なので、ヒエはコンバインで何とか刈れるけど、この木になる草は鎌を持って刈り取らないと刈り取りにならない。黙々と鎌を持ち娘と田んぼの草を取り、稲刈りする! おかげさま農場・高柳功