(産地の声)vol.1618 一農家のつぶやき。 2023.10.25
急に寒さがやってきた感じだ。朝晩、冷え込むようになって衣替えをしている。家の中もコタツを出して暖まる季節になった。
当地は、サツマイモの産地だが今が堀り取りの最盛期だろう。あちこちで収穫の機械に人が2人3人と乗ってコンテナが積み上げられていく。地球異変の猛暑のせいと水分不足もあって、お芋も小さめだという。
TVのトマト農家の取材で、猛暑のおかげで花が咲いても実にならず、なっても裂果したり、傷んだりして例年の2、3割しか取れないと嘆いていた。消費者は倍の値段と言うけれど生産者は例年の2、3割と言うから例年の半分以下の収入になってしまっていると言うことだ。
何が起こっているのか?何故そうなっているのかを見ようとしないで、ただ価格論しか報道しないというのはどういうことなのだろう。
こういう状態では農業人口はさらに減るだろう。現に農の現場は農をやめてたたむ人が増えている。一方でここ2、3年で肥料、包装資材、出荷経費も2、3割は値上がりし、農業資材の高騰が追い打ちをかけている。
日本という国は農業を大切にしない国だ。家庭で、教育の現場で農業の大切さ、命の大切さを教えていないように思う。
大自然の恵みによって私たちの命が生かされていること、その恵みに感謝すること、そしてそれは農を営む人によって養われていることををきちんと教えていないようだ。
政治家は経済の発展ばかりを強調するが、彼らの言う経済とは何なのだろう。
経済とは経世済民というように教えられた。経とは縦糸、子や孫まで続く時代が食べることができ、貧しい人も富める人もそれなりに太平に暮らせるようにすることが経済と言う意味と理解していたが、どうも違うようだ。
だいたい生き残りをかけてとか、どこまで競争したら気が済むのか。共に助けあう世の中にするのがホモサピエンス(賢い人)の向かう道ではないのかと思う。テクノロジーは進歩してきたが、人類は劣化しているのではないかと思ったりする。ウクライナのことも中東の争いも、果てはこの国も軍事を強化するようなことは人の道を間違えているように思えてならない。
生き物の生存基盤である大自然を荒らし、飽くなき欲望の為に際限なくエネルギーを使ったあげくCO2問題を起こしている。引き返す時だと思うのだが、どうだろうか。 おかげさま農場・高柳功