(産地の声)vol.1634 2024.2.14
冬場は、仕込みの時期である。近年増えてきたのが味噌つくりに参加したい、手つくり味噌がほしいという人たち。
先々週に、イベントで味噌つくりをしたのだが20人くらいワイワイ集まった。朝から前の晩浸し、含水して膨らんだ大豆は翌日には倍以上に膨らむ。
それが4斗釜いっぱいになる。その大豆を煮るには3時間くらいはかかる。それも手つくりと言うことで焚き木を用意して、ナタで木を割りながらをくべる。
火の加減というものがある。経験のない人はその加減が分からない。火が強すぎると噴き出して煮汁がこぼれてしまう。大豆も!。かといって火力が弱いと煮詰まらない。そこで、こんな加減だよ、この程度の火加減でやってちょうだい!と。
やったことがない人ほどやりたがる傾向があるようだ。それでいいのだ。加減というのは体得するしかないのだから。
一方で、仕上げた米麹に塩をまぶす。ポイントは、とにかく均一にまぶすことですよ、と師匠?。みんなで腕まくりしてわいわいとまぶしていると、何とかできあがる。それに、煮込んだ大豆を再びまぶす。
そして、ようやく味噌搗きになる。昔は臼でついたのだが、今は味噌搗き機械のやっかいになる。我が家では餅つき機械と同じものだが、そこで搗いた味噌を、めいめいが希望の量をはかりで量って詰め込む。
そうしてお昼。別動部隊が、餅つきをしておつゆ、きな粉、あんこ、大根おろしと用意して、お持ちの昼飯に。今は便利な餅つき器があって、前の晩もち米を浸しておけば、その機械が蒸してお餅が仕上がる。
そんな中の一人が、麹つくりを学びたいと挑んだ。蒸かしから、種麹の混ぜ方、そして寝かせ方など、相手は生き物だから赤ちゃんを育てるようにと、師匠が。(師匠と呼べるほどの者ではないが、そうなる)寒さが強いので、電気毛布を使った。
温度管理や見方、仕方など教えて、彼女は都合4日間通った。だいたい2.3日で仕上がるのだが、仕込みの中に手を入れてこの程度の温度があれば、などと体験してもらった。慎重を期して3日目くらいかけたが、なかなか良い麹が仕上がった。
その後、彼女が自宅で麹つくりをしている。お米一粒一粒に菌が回って麹になる。「麹が育った!」。いい表現だ。育て上げたという体験は感動だ。お米の粒が、しっかりと真っ白に麹菌に包まれ、麹の香りが漂う。良し!。師匠?としても嬉しい。
自給自足と言うが、自らの命のために一つのことができるのは人として自立の一歩と思うがどうだろうか。 おかげさま農場・高柳功