(産地の声)vol.1635 2024.2.21
おかげさま農場の片岡です。昨日、高柳場長から電話があり「今、徳島にいるんだよ。お遍路で煩悩を落としてくるよ」との事で、久々に代筆です。
お遍路もそうですが、昔の人がどう生きどう暮らしてきたかという事は、若い頃は関心が薄いのですが、歳を重ねるごとに学びたくなってきます。先日、十勝地方でアイヌの大切な聖地であるカムイエロキが数十年ぶりに復活させた、という番組を観ました。そして儀式の様子やどういった思いで復活をさせたかといったアイヌの血を引く現代を生きる方々のお話がとても心に来るものがありました。
私は野菜を自分で作る事はもちろんのこと、農村の暮らしを学ぶ事そのものにワクワクして農村に足を踏み入れました。おそらく、コロナ禍で地方移住ブームが起きたのも、一つは都会の暮らしではなく農村の暮らし、自然と共に暮らす昔の日本人の生き方に関心を持つ方が増えたからだと思います。私も十数年前に農村の長老達の暮らしぶりに触れ、「暮らす事は生きる事なんだ」と知り、「良く生きるとは良く暮らして行く事」という人生の指針が出来たのです。
そういう昔の暮らしに関心を持つと、昔の人の心のより所であった仏教・神道、あるいは一般民衆の風習や暮らしをもっと知りたくなります。そんな私にとってはアイヌの伝統文化、カムイに関するお話なども興味深いわけです。例えば、梅原猛という哲学者は「アイヌの文化は大和民族と切り離されたものではなく、日本人全体の精神の根底にあるものを表わしている」と言っています。
最新のDNAの研究で日本人の先祖は大陸からやってきた人達ではなく、もともとアフリカから一気に渡ってきて、その後に氷河期が終わり大陸から切り離された日本列島で独自の文化やDNA構成を作っていった1,000人ぐらいのグループ=いわゆる縄文人の祖先、だという事がわかりました。
この後、北東アジアから来た弥生人と言われている人達がやってきてDNAレベルで4割ぐらいを占めるようになりました。さらに古墳時代に東アジアからやってきた人達が一気に覇権を握りDNAレベルで6割ほどを占めるようになり、これは現代でもほぼ同比率じだそうです。しかし、もともと住み着いていた縄文人のDNAを今でもアイヌの人達は7割引き継いでいるそうなのです。つまり、アイヌの人達の暮らしや文化こそ、元祖日本人のものを受け継いでいるかもしれないのです。自然に神(カムイ)の姿を見て、人間はカムイのおかげで暮らせると同時にカムイも人間のおかげである、という同等の思想は昔の日本人の思想なのかもしれませんね。
おかげさま農場 片岡