上杉鷹山の話

(産地の声)vol.1643 一老農のつぶやき           2024.3.13

 ここのところ雨が多く、晴耕雨読ではないが録画を観た。身を挺して藩政改革を成し遂げた上杉鷹山を取り上げた番組だった。アメリカ大統領だったケネディ大統領も尊敬する政治家としていたという。

 藩主は民のためにあると、困窮する領民を救い、借金だらけの藩を立て直すために武士に鍬を持たせたという。兵農分離をした幕藩体制に逆行する施策である。それでも自らが鍬をふるい藩を立て直した。その米沢藩の現在の米沢市民は、上杉鷹山をいまでも鷹山公と呼び誇りとしている。かっての藩主を、今でも公!と呼び親しみを込めて語っている姿に心打たれる。

 それにしても、である。国会中継を観ていたらあまりにもずさんな答弁というか、答えにならない答弁を繰り返す姿には、ため息をつくばかりだった。なんと言うことだろう。むしろ政治が劣化しているのではないか、と思える。

 国会は、パーティー券問題で炎上しているようだが一般国民からすれば収入として逃れられない。政治は公の世界ではないのか。だとすれば民主主義国家としては明朗、包み隠さずその経緯を明らかにするのが公人としての務めだと思う。

 防衛費の増大、そして武器輸出を進めようとすることも問題に思う。二度と戦争をしないと世界に宣言した国がなんと言うことだろう。首相の答弁は答弁になっていない。誰が決めているのだろうと思える答弁に聞こえる。

 昭和史を書いた半藤一利さんではないが、危機を煽るような風潮が出てきたら危ない(この国が)と言っていたが、それこそ一国民として危機感が募る。

 農の世界は平和でないと仕事ができない。全国八万と言われる神社の祝詞は、「五穀豊穣」「天下太平」が国中の庶民の願いであり、祈りになってる。天皇陛下がよく言われる「安寧の世に」という主旨を政治家はよく吟味し、身を正してほしい。

 一方で、大手企業の賃上げ報道がすごい。消費税導入の一方法人税の引き下げ、所得税率の引き下げなどで企業ストックは、ここ10数年で200兆円から500兆円とふくらんでいる。大手企業は余裕があるから良いだろうが、中小企業や我々のような農家はそうはいかない。

 今日農家仲間が来たが、「賃上げ、自給の最低賃金を上げているが、おかしい感じがしないか」と言う。「世間並にやっていたら続かないよな」それが実感だ。

 世間の動きは別に、種籾を浸す時期になってきた。畑では、人参ジャガイモの種まき、夏野菜の育苗など忙しい季節の到来だ。

    おかげさま農場・高柳功