田んぼの風景

(産地の声)vol.1642 一老農のつぶやき           2024.4.10

 ようやく桜が咲いた。我が家の桜も昨年からすると1週間くらい遅れたか。田んぼに行く道中にお寺さんの桜が満開に咲いていてきれいだった。田舎なればこその風景だろう。林の中の山桜も咲き始めて山々を彩っている。

 

 また畑や田んぼの畦にはタンポポが無数に咲いている。桜の花もいいが道ばたの真黄色のタンポポも無数に咲いていてこれもまたいい。早いものは咲き終えて綿帽子をつくっている。タンポポは風媒花だから、風に乗って種が運ばれあちこちに。

 今は田つくりの真っ最中なのだが、当地の田んぼは谷津田と呼ばれる風景の中にある。周囲を高台の林に囲まれ低地に谷津田は広がっている。平野とは言えない地域で山々が目の届く近いところにある。山とは言っても高山ではなく田んぼに続いて小高いところは木々が茂り、その間に田んぼが広がっているのだ。4月に入り、むらの田んぼは、荒れ地から耕され、黒土の大地へと変わろうとしている。水が入り早いところは代掻きが始まった。田植えが始まろうとしている。

 養老孟司さんの 「わかるということ」の著作に中に田んぼのことが書かれていた。~日本の植物生産量は世界的に見ても極端に多い。この人口過剰気味な島国が完全に自然を破壊せずに生きてこられたのは、土と水に恵まれていたからです。

 私はよく「田んぼは将来のあなただ」と言います。言われた人はたいがいがポカンとしている。田んぼに稲穂が実り、米を収穫し、その米を食べればそれは自分の体の一部になります。大気も同じです。周りの空気を吸い込めば、それが自分の体の一部になります。つまり、田んぼの実りも人を取り巻く空気も、いずれ人の一部となります。それが。「田んぼの将来はあなた」の意味です。~

 抜粋ですが、妙に得心した内容でした。

 食べ物を考える時、商品としてしか見ない風潮があり。これでもかこれでもかというおいしさの追求の風潮もちょっと違うのではないか。

 紅麹の機能性食品とやらが問題になっているが、認可されている数が数千もあるということ自体が異常だと思えるが如何なものだろう。

 まともな食事もしないで、機能性食品だとかサプリメントだとかがもてはやされる現状は異常としか思えない。命の側から見れば、人は何をどう食べて生きながらえてきたのか。そういう見方があってもいいと思うのですが、どうでしょう?。田植えに向けて天候とにらめっこしながら忙しい日々が続きます。

                    おかげさま農場・高柳功