(産地の声)vol.1647 一老農のつぶやき 2024.5.15
人間は自然がなければ生きてゆけない。自然から離れると正しい歴史観がもてない。そうしたことを学生時代に教えられたが、見方を変えれば、人間は自然から生まれ、自然に育まれて人間の歴史もあるのだと思う。
養老先生が、人間は自然だ。なぜなら人間は人間が作ったものではない、と言ったと記憶しているが、違うかな。 ともあれ人間も他の生き物と同じく自然生態系の一員であることは間違いない。
ところがである。近年はどうもどんどん自然から離れてAIだとか科学というか、テクノロジーの進化というか、わけの分からないことが、さも先進的で乗り遅れてはいけないような風潮なのが気にくわない。
地球の側から見れば人間は地球の害虫のように見える。豊かな地球の自然生態系を人間の都合で改造し、人新世の時代とまで言わしめている。その結果、CO2の増大、プラスチックごみで地上も地球の3分の2を占める海を汚染してきた。
70年代のローマクラブによる成長の限界という警告提言があったが、残念ながらその限界に近づいているようだ。国連の事務総長は、地球温暖化ではなく地球沸騰の時代とまで言わしめている。
大気汚染、水質汚染、土壌汚染が進行し進行中でもある。CO2の問題は実は、人間によるエネルギーの使いすぎではないのか。CO2増加は結果であって、エネルギーを無尽蔵のように使ってきた結果としてであって、CO2にその原因を求めるのは違うのではないか、と思う。
野良仕事をしながら田畑から山林を眺めていると、人間以外の生き物はちゃんと役目を果たしているなと思う。木々は、太陽が出れば休みなく光合成をしてCO2を吸収し、酸素を供給してくれる。チョウチョや蜂は草花の蜜を吸いながらも花粉を付け他の生き物のためになって、地球の一員としての役目を果たしているではないか。それに比べ人間は人間の都合で資源という名で地球から鉄から何から収奪しっぱなし。人間の都合しか考えていないように見える。
母なる地球。生みの親から奪うことだけで、しかも荒らし回る人という生き物は何なのだろう。ジレドダイアモンドの失われた文明という本を読み始めたが、詰まるところ自然を蔑ろにし人間の都合で文明を築き上げたが、自然を甘く見た結果滅びるということのようだ。
種まきや植え付けで野菜も少なくなって今晩は、野草の天ぷらでの食事だったが結構美味しかった! おかげさま農場・高柳功