(産地の声)vol.1648 一老農のつぶやき 2024.5.22
ここのところ田んぼのことばかり書いている。それだけ田んぼ仕事が続いていると言うこと。まだ終わらない。
先週は、田植え前の仕事である代掻きが中断してしまった。ドライブハローという機械が故障してしまったのだ。修理に出したら、修理ではおぼつかない。と言うことで機械の買い換えとなってしまった。
また百万単位での出費となる。今の稲作は、従兄弟に言わせるとボランティアという。採算を考えればやめた方がいい。稲作農家の取り分は極めて少ない。世間で言うところの時給を計算したら赤字になってしまう。
世界を見ると、いわゆる先進国の中では食糧自給率が最低の国、日本。先進国と言われる国は自給率を高めようと、農地の保全確保、そして経営体の保護を基本としている。前にも書いたが、アメリカでは歴代の大統領が「食糧を自給できない国は独立国とは言えない」と言っている。
日本の企画庁キャリア官僚は、農産物といえどもグローバル化に対応するには、保護するわけにはいかないとか言っている。日本人の命よりもお金=経済のことしか考えていないのかと思える。命と環境は守るものだと思うがどうだろう。
5月下旬となって田植えをしているのは我が家だけとなった。ようやくドライブハローが届いたので代掻きをして田植えが再開した。予定が1週間伸びてしまった。
娘と孫と3人で、さあ始めようと田に入ったら深みにはまり田植機が止まってしまった。どんな機械でも胴体の腹に泥がつかえたら動かなくなる。仕方がないので、トラクターを持ってきてワイヤーをかけて引き上げる。そのところは植え付けままならず、植えられないままとなった。
田んぼは足が取られ動きもままならない。娘が「田んぼは大変な仕事だね」というが、昔を思えばもっと大変だったろう。葦や茅場を開墾し、田を作り命をつないできたことを思えば、今以上の先人の苦労があったろう。
それも機械などなく、すべて手仕事でやったであろうことを思えば、まだその苦労には及ばない、などと自分を説得してみたりする。
うだうだとまた愚痴と不満の田んぼ話になってしまった。
田んぼばかり気にしていたが、キュウリがなり始めた。ズッキーニもキュウリの仲間だが取れだした。いろいろ工夫して食べてほしい。人参、キャベツも美味しい。今週はフキもある、珍しい山の幸です。
おかげさま農場・高柳功