(産地の声)vol.1659 一老農のつぶやき 2024.8.7
草退治仕事が続く。機械を使うと言っても、その機械仕事がなかなかの力仕事なのだ。田んぼや畑は平坦ではない。支えていないとどこへ行くか分からない。
仕事を始めて10分もすれば汗だくになる。時々休んで水分補給。軽トラックに避難しながらたばこを吹かしラジオを聞く。ニュースを聞きながら、人類は進化とは正反対の退化しているんではないか、などと思う。
ソ連のウクライナ戦争、イスラエルの戦争など殺し合っている現状は退化としか思えない。人間以外の生物は殺し合いもするが、同族同士の殺し合いはない。
動物以下の所業ではないかと思える。アメリカの大統領選挙をメディアが連日取り上げているが、そもそも外国のことではないか。日本が関与できることではない。どのようになろうが、我が国の有り様を主体性を保って対処するしかあるまいと思う。また、相手をけなす論戦には聞いていて嫌になる。
仕事を終えコンビニに行く。入った瞬間快適な空間だな、と思う。我が家はクーラ-を置かない家なので、クーラーの効いたコンビニは別世界の空間だ。
週刊誌の目次をペラペラめくってたら、「日本農業の危機、誰が農家を殺すのか」とあったので買ってきた。なかなか的を得た内容だった。この指摘は正しいと思う。1千万人いた農家が30万人に激減してしまう。日本人の食が危うい、と。
農業は工業と違ってどんなに効率を求めても農地と自然の生産力という制約があるので、一気に生産を10倍にするなどと言うことはできない。であるからして欧州や米国は、農家に直接所得保障をして農地、農家を守り同時に国民の食糧安定供給を図っている。
こう言った農家がいた。「600haあった農地が430万haに減り、25年前に240万人いた基幹的農業従事者が半分になった。農政の何が問題なのか、あの新農基法はまったく検証していない。大事なのはロボットじゃない。人と農地だよ。農地も農家もこれほど減少したのを検証もしないで、何が食糧安全保障なんだ。それなのに政治家は議論もせずに決めてしまった。めちゃくちゃだよ」・・・まったくお粗末と言うしかない。 最後の稿に、「少し前まで、いつか飢えを体験するかも知れないと思ったことがあります。でも今は飢えるのは時間の問題だと確信しています」と千葉の農家も熊本の農家も同じ事を言ったのは何とも不気味である。・・・と結ばれていた。私も同感だ。食は人間社会の生存基盤であり、まさに人と農地の営みによってしか食を得ることができない。危機感を抱きながら農をしているが、皆さんは如何か。 おかげさま農場・高柳功