(産地の声)vol.1663 一老農のつぶやき 2024.9.4
ようやく2回目の稲刈りをした。
田んぼの草がすごい。今まで日本に無かった雑草なのだ。輸入種の雑草。
ふと手元に最近読んだ本があった。数学者:藤原正彦さんの週刊新潮で連載された「管見妄語」の収録集だ。書かれたのは平成13年。
題して「グローバル化の憂鬱」という題であったが、我が家の田んぼのことではないかと、ふと思った。グローバル化が、世界のどこからか運ばれた雑草となってはびこっている。
我が家の無農薬自然栽培米は、お米つくりの最大の障害である雑草対策に紙マルチを使用している。雑草対策は田植えをしてから2ヶ月が大切。生育初期には空間が多く、雑草が芽を出す。その期間抑えることができれば、稲の方が分けつ生長し稲が繁茂して雑草も抑えられる。
これまではそれで何とか対応できた、が、このグローバル雑草は、紙マルチの効用期間後に出てくるのだ。稲が繁茂しても、その隙間で芽を出し小さいうちは弱々しく見えるのだが、稲を飛び超してから一斉に元気になってくる。
そして稲を越えて雑草と言うより木になる。株元は2センチを超えて3センチくらいの太さになり稲の倍くらいの高さまで生長し、しかも枝を出してまるで小さな桜の木のようになる。
これがあるとコンバインでは刈れなくなってくる。人が入って鎌で切り取るしかない。鎌でも切れない時がある。場合によってはコンバインで刈り取る時間より、この草?を取り除く時間の方が長くなる。
振り返ってみれば、雑草だけでなくバイラス(ウイルスのことをバイラスと呼ぶ)や害虫、病気もグローバル輸入されてきた。昨年なども秋の野菜は害虫が大発生し、大根などは2度も3度もまき直しする事態となった。
日本は温暖で雨も多く生き物にとっては天国のようなところのようだ。温暖化で南方の作物は栽培できるようになるとかいうけれど、それよりもそうしたウイルス、病原菌、害虫、そして雑草の種などが入ってくる方が問題になるかも知れない。そうなることを望まないが、気になる。というのも農薬を使う慣行栽培の田んぼにも生え始めているのだ。雑草が森のようになり稲刈り不能(と言うより雑草取りを諦めた)の田んぼを見かけるようになった。世間ではお米不足という話題が持ちきりだが、田んぼが作れなくなった事は、さらに深刻と思うがどうだろうか。 おかげさま農場・高柳功