(産地の声)vol.1674 一老農のつぶやき 2024.11.20
急に冬の到来で寒さが身に堪える。久しぶりに自動販売機で缶コーヒーでも、と思って買ったら1缶130円から150円が当たり前になっている。お茶など量目が多くなるともっと高くなる。
以前の感覚だと100円前後が当たりまえだったのに、と思う。農業資材もここ4~5年で5割近く値上がりしているのでそれも時代の流れなのかも知れない。
だとすればお米の値段もそうなって当たり前なのか、などと思うが世間の扱い方が違うことに違和感を感じる。
お米の値段が高くなったというけれど、5kgで三千円位。国民一人当たりの消費量が50kgを少し上回るくらいとすれば、上がっても一日当たり100円ではないか。お米は騒ぐけれど清涼飲料水の値上がり150円にはそれほど騒がない。
調べたら、清涼飲料水は国民比土地当たり一日512ml飲んでいるという。国全体で4兆円を超える。同輩と道ばた論議をしてたら、「缶ジュース類がいつの間にか100円から5割も上がっているのにニュースにもならない。なんでお米や野菜のニュースは盛んにするのかねえ。これって食農に対する差別じゃねえか」
「生命の糧であるお米や野菜は安くて当たり前、工業製品は仕方が無い、なんて最近の国民の多くは考えてるんじゃねえか。そんな世の中おかしいよな」などと話すのだった。
国会議員の選挙が終わって、政策論議とかで103万円の壁とか130万円の壁とかの議論が盛んのようだ。それで4兆円の収入減になり財政が懸念される、とかの議論がされている。ということは、それだけ低所得の皆さんから税金を納めさせているということになる。
新聞によれば、今年の倒産件数は過去最高になるという。近くの自動車の下請け会社をやっていた知人が、倒産。家族が離散する羽目に陥った。そういう話はあちこちにある。一方で大企業は空前の利益だという。
全国を飛び回る知人が語ってた。「今この国は、富める物はますます富み、貧しき物はますます貧しくなる、という国になっちゃてるなぁ」という話がショックだった。
その昔若い頃、一所懸命生きた人が報われない社会は、社会の方がおかしいんだよなぁ、などと話してたことを想い出す。個人責任だ!ということほど、冷たい言葉はない。共に思いやりをもって、助け合って生きてきたのが日本人だったのではないか。
おかげさま農場・高柳功