冬の夜更けに

(産地の声)vol.1679 一老農のつぶやき           2024.12.11

 週刊誌に万病の元というタバコも高齢者にとってはあまり影響がない、と書かれていた。お医者さんである和田秀樹さんというお医者さんが連載で医療のことを書いているのだが、私はファンである。

 タバコが良くないという人に出会うと、それなら車の排気ガスも問題にした方がいいのではと返している。なぜなら排気ガスで死ねるけどタバコの煙では死ねないよ、などとのたまっているのだが、中々賛同を得られない。

 和田医師の言うには、コロナのワクチンにしても何より免疫力、抵抗力をつけることが大切だ、と言うことの方が私には説得力がある。良くないのはストレスだ。そのストレスがタバコを吸うことによって癒やされ免疫力が上がるというならその方がいい、などともおっしゃっている。

 娘も「そうかもしれないよね。だって、タバコ人口が減ってきてるのに癌は増えているという事実をどう見るかだよね」などと私の自説を援護するようになってきた。

 連れ合いは、人が病気になったり亡くなったりすると「ちゃんとした食べ物を食べないからよ!」と、たびたび食べ物のせいにする。私が「お前さんは何でも食べ物のせいにするけど、そうかな」というと「だって人間は食べ物でできているとあんたもいって言ってるでしょ」などと反論され、「そうだよな」で終わる。

 冬になって夜の時間が長くなってTVを見る時間が多くなってきた。そのCMでサプリメントだの機能性食品だのの宣伝がこれでもかと言うほど流れている。

 熱帯に住むゴリラは体重200kgを超す頑丈な身体を持つが、彼らの食べ物は葉っぱが主だという。葉っぱだけであの身体が出来、維持されるという事実から学ぶことは多いように思う。自然界の生き物は自然の物をそのまま食べて生存している。

 人間が自然環境を壊さなければ彼らは生き続けるだろう。昔、二十世紀も人間は動物である。と言う本を書いた人がいたが、人間も自然界の一員であり、自然の恵み無くして生きることはかなわない。そのことをどれだけ認識してるだろうか。

 化学農業が発達して、アンチ農法として自然農や有機農法が本来の農であり食ではないか、という人たちが声を上げ、かつ実践してきたが、この国も、ようやく25%の農地を有機農法に、と言う方向性=政策が打ち出された。人間が考え出したテクノロジーで豊かになり便利な世の中にはなったが、そのテクノロジーのなれの果てが、温暖化であり、環境汚染の増大とすると近未来はどうなるのだろうか。有機農業は食べ物の安全安心だけでなく環境汚染のない世界を目指している。が、道は険しい。       

                               おかげさま農場・高柳功