味噌作りの準備

(産地の声)vol.1683 一老農のつぶやき           2025.1.29

 当家は、なるべく食べ物は自分でまかなおうとしている。その一環が味噌つくりだ。おせんべいもお店に並ぶものは、なんでこんなにいろんな物を使わなくてはいけないのか。何故、包装紙の裏書きには各種の添加物が書かれているのだろう。

 

 自前のせんべいは、お米とお醤油だけでそれにゴマなど少々混ぜただけのシンプルなものだが、それだって結構素朴で美味しい。

 お味噌のこと。我が家で40~50年前、食卓を囲んで語り合ったことがあった。そこで議論になったことは、スーパーに並ぶお味噌が安すぎることがおかしい、となった。

 なんとなれば、材料であるお米と大豆の値段以下で、味噌が造れるのはおかしい、と。そこでいろいろ調べたら、お味噌の材料である大豆は大豆かすを使い、お米はくず米と呼ばれるお米を使う。そうすると材料代が5、6分の1になる。

 つまり原料代が安くつく。で次も問題なのだが、材料が粗末なので漂白剤やら着色料とかぼうなん剤とかという添加物を使って本来の味噌に近づけるという話だった。どこまで本当か分からないが、それなら自分で作る方が安心できる。

 なので、自分で大豆を作り、我が家のお米を使い、糀も自前でつくり、味噌にする。毎年の我が家の行事になっている。そうしたら、縁のある人たちが「一緒にお味噌を!」というので毎年3、4回味噌つくりをすることになってしまった。

 今日は、その味噌つくりの元である、米糀つくりのために朝から釜を出し、前日に浸したお米を蒸した。都合6蒸籠(せいろ)蒸かし、糀菌をまぶしねかせた。

 約24時間で糀菌が働き、糀が働き発酵状態になる。菌が全体に回って発酵熱が.7.8度を超す。ほっとくと発酵し過ぎ自分の熱で菌が死んでしまうので、菌糸がまわってお米同士がくっついているので、熱を冷まし、さらに全体に糀菌が回るようもみほぐしさらにねせておく。ときどき(5、6時間おきくらいに)様子を見て、人肌の温度になるよう手入れする。

 そして、自家産の大豆をよく洗って一晩充分に給水させて煮て味噌搗きとなる。

 日本食の特徴は、発酵文化と言われる。味噌も醤油も発酵のたまものだ。お漬物も発酵食品。納豆なども同じ。一昔前まではどこの家でも自前でつくっていたのだが。

 便利で、より安くなどというのもいいだろうが、それも程度問題で自分の命を軽んずるようであってはいけないと思うのだが、いかがだろうか。

 この季節、ほうれん草、小松菜、大根が美味しい。冬は食べ物が美味しい季節だと思う。旬を食べる、のは人間も自然界の生き物として自然なことなのだと思う。

                  おかげさま農場・高柳功