(産地の声)vol.1223 <たかが大根されど?> 2015.12.23
今日は天皇誕生日だったが一日中暗くなるまで大根の収穫、荷作りだった。本来休日というのは、その記念することを想い顧みる日なのだろうがそうもいかない。
(産地の声)vol.1222 <年末の忙しさが> 2015.12.15
何故か仕事が予定通り進まない。今日は、落花生を炒っていたのだが、途中大根の注文が入り、急遽畑へ大根抜きに。大根抜きを終わって家に着いたらお客さん!。頼まれていたお米とたくあん大根を車に積んでみんなでお茶する。
(産地の声)vol.1221 <不作と豊作> 2015.12.9
毎年のことだが、落花生の煎り作業が始まった。今年は落花生が不作でお客さんに十分行き渡らない。3軒の農家で栽培していたのだけど一軒農家で病気になってその分が当農場に入らない。その上で不作が重なった。
(産地の声)vol.1219 <考えすぎ?> 2015.11.25
話は、農のこととは離れるが、TVのドラマなどで「僕は君をきっと幸せにするから・・・・」と言った台詞が気になってしょうがない。というより違和感を抱き続けている。結婚だとか男女の関係が「そういうものなのか?」と思ってしまうのだ。
(産地の声)vol.1218 <大根よもやま話> 2015.11.18
先週も書きましたが、今年の秋は暖かすぎます。野菜が育ちすぎて困っていま
す。私の育てている三浦大根も12月予定がすでにできあがってしまいどうした
ものかと考えています。
(産地の声)vol.1217 <生育が順調過ぎ?> 2015.11.11
土作りと自家用小麦粉の自給のため麦を蒔いていますが、今日はたけを見回ったら綺麗に芽が出て既に10㎝くらいに育っています。遠くから見ると緑の絨毯です。とても綺麗でそこだけが新緑の春のような緑が広がっています。
(産地の声)vol.1216 <TPPは安全か?> 2015.11.4
日本人が欧米人のように肉を食べると、病気になるのは何故か。これは大地の質が原因だ。ヨーロッパの大地は海の底がせり上がってできたもので、カルシウムがいっぱい含まれているけれども、日本は火山国だから、大地に含まれているカルシウムんの量が少ない。だから欧米人と同じように肉をたくさん食べてはいけない。
(産地の声)vol.1215 <麦を蒔きました!> 2015.10.28
タマネギや菜種、カボチャやなすなどの野菜も終わり畑を片付けています。その後に麦を蒔きます。いわば畑のリフレッシュです。麦や稲科の作物は大地いっぱいに根を張ります。野菜は浅根性で地を這うように根を張ります。
(産地の声)vol.1214 <天高く馬肥ゆる秋!です> 2015.10.21
大根ができてきました。私は最初に大根おろしに小魚を振りかけ醤油をちょっと垂らしてご飯と食べます。これが手っ取り早い手軽な食べ方です。大根は他の野菜と違ってボリュームもあるのでいろいろな食べ方ができます。
(産地の声)vol.1213 <天の恵みに感謝> 2015.10.14
ようやく稲刈りが終わりました。最後はモチ種でしたがこれが難儀しました。初めてモチ種を作ったのですがもち米はハデないといけないのです。もち米は、うるち米と違って透明感のある粒ではなくて、粒が白くならないといけないのです。(白くなることをハデるといいます。)
(産地の声)vol.1213 <ハガジ(むかで)顚末記> 2015.10.7
秋の夜長になってきました。いつの間にか日が短くなり五時過ぎると急に暗闇
が迫ります。9月の感覚でいると六時過ぎまで仕事ができると思ってしまうのです
が、六時ですと暗くて仕事になりません。
産地の声)vol.1211 <稲刈りと昔?> 2015.9.30
ムラの水田には私の稲しか残っていません。一番最後に植えたのだから一番最後になるのは当たり前なのかも知れませんが、私的にはもう少し早く終える予定であったのです。
(産地の声)vol.1210 <秋晴れの中の行事> 2015.9.23
今日は忙しい日でした。朝から農場の事務をして、帰ってお墓の掃除をする中、叔父さんやおばさん、従兄弟など親類がお線香を上げに来てくれました。我が家のお墓は、家から100メートルもない近場なのですが、稲刈りに追われ草刈り掃除ができず、彼岸の中日の今日の朝になってしまったのです。
(産地の声)vol.1209 <災害と稲刈りと連れ合い> 2015.9.16
今日は久しぶりに一日稲刈りでした。わたしの地方は平らな水田が広がる広々とした地域ではありません。丘陵地に馬蹄形状に入り組んだ地形でその低地部分が水田となっています。上流は20メートルもない巾の田んぼから始まり、中央を大須賀川という小さな川があり、その両側に水田があります。
(産地の声)vol.1208 <長雨、台風、災害> 2015.9.9
台風18号は私達の仕事を邪魔してます。長い時間をかけて雨続きなので毎日
稲刈りが全く進みません!。仮に一時雨が止んでも、稲に葉つゆがしっかり着いて
いてコンバインが使える状態ではありません。また、長雨で地盤が緩んでいるので
機械がのめり込んでしまうことを考えると「何時になるのか!」とため息をつきつ
つの毎日です。
(産地の声)vol.1207 <稲刈りです!> 2015.9.2
ここのところ天候が雨模様が続き、夏野菜がパタッと穫れなくなっています。全くではないのですが、ぽろぽろと収穫する程度なのでお客さんには気をもませています。夏野菜というのは温度で成長する、というのは本当なのだと言うことを改めて実感しています。
(産地の声)vol.1206 <皮膚病と草退治と人参の種蒔き> 2015.8.26
今年の夏は皮膚病にかかり難儀しました。7月の猛暑からプツプツと赤い斑点が
できて、かゆいのです。腕から始まってお腹の辺りそして足や頭にもできてしまい
ました。その痒いこと痒いこと。
(産地の声)vol.1205 <今年の夏野菜> 2015.8.19
今朝は肥料がほしいとお客さんが来ました。懇意にしている隣村の人です。先代からのおつ気合いで、私も50年以上のお付き合いです。かっては農協の肥料を使っていたのですが、我が家を見ていてか有機栽培になっています。
(産地の声)vol.1204 <お盆です> 2015.8.12
昨日は友だちの新盆お見舞いでした。同級生達と連絡を取り合ってみんなでお線
香を手向けてきました。今年は同級生が二人亡くなりました。胃ガンと大腸ガンで
す。
(産地の声)vol.1203 <食品表示法が4月1日に施行されて> 2015.8.5
消費者は、ほとんど知らずに命に関する法律が改正されています。ジャーナリストの天笠啓祐氏によれば、「新しい食品表示法のポイントは、栄養成分表示の義務化と機能性表示の開始なのであるが、消費者や農家の求めた加工食品の原産地表示、食品添加物の表示の厳密化、遺伝子組み換え(GM)食品の厳密化は検討さえ行われなかった。」というのです。
(産地の声)vol.1202 <TPP交渉が進んで> 2015.7.29
グローバル化とは一体何だろうかと思います。グローバル化の正体は、結局経済(と言ってもお金的価値)の追求でしかないのではないか、と思うのです。
(産地の声)vol.1201 <梅雨が明けました> 2015.7.22
とうとう梅雨が明けたようです。連日の30度を超す猛暑で全国では数百人に
のぼる人が熱中症にかかったというのですが、私達は、だからといって畑に出ない
わけには行きません。
(産地の声)vol.1200 <この国のかたち・誰も責任をとらない> 2015.7.15
かって司馬遼太郎さんは、「この国のかたち」の中で統帥権を持った軍部が天皇の名をかざして好き放題のことをした。そして実行者は一切責任をとらない国になっていったことを書いています。
(産地の声)vol.1199 <続く長雨で> 2015.7.8
ここのところ雨続きで野菜が激減しています。農家と言えども天気には勝てませ
ん。全ての農産物は農家が作っていると言いますが、本当のところは自然の力で育
っています。
(産地の声)vol.1198 <身土不二、自然から離れた食でいいのか> 2015.7.1
今日は久しぶりの雨です。畑や田んぼの草退治が待っているのですが、雨だと外の仕事きついです。それでも、お客さんが待っていますので雨の中を畑に出てネギを引っ込ぬいて荷作りしています。
(産地の声)vol.1197 2015.6.24
私達は、有機農業と言うより化学物質をなくし、自然の摂理に基づいた野菜作りをしてきました。レイチェル・カーソンの沈黙の春という自然生態系に及ぼす化学物質の脅威、人間が作り出し自然の命を滅ぼす化学物質。それはいったん自然界に撒かれたら制御することはできない、と言う警告です。
(産地の声)vol.1196 2015.6.17
週一度のこの産地の声も毎週月曜日と決めて書いてきましたが、ここのところ一定しません。仕事の案配がうまくいかなくてなのです。年をとって今更ながら自己の未熟さというか、至らなさを思うこの頃です。
今年の天候は空梅雨なのか、畑も乾燥気味ですし田んぼの水管理もあまり順調とはいえません。田んぼの管理は私担当なのですが、連れ合いが言うには「あなたの水回りは不十分なのよ!」「未熟者か」「そうよ、何年やってるのよ。」と。
小さな家族経営の中でも忙しくなってくるとしばしば言い合いになります。今私の稲は最も水が欲しい時なのですが、地域の水田は、分けつが十分で稲株ができあがっています。私の稲は半月以上遅いこともあって遅れているのです。
野菜にも旬があるように稲もあると考えているので、私なりに旬に!と作付けしてるのですが、近年だんだんと植え付けが早くなり、3.40年前からすると1ヶ月近く早い種まきになっています。私の種まきは昔から変わらないのですが、、、、、。
ということで、地域の水利組合はポンプ停止、用水が出なくなってしまいました。頼みは天水だよりで梅雨時期の雨を待っているのですが、ほとんど雨が無いのです。九州や四国など大雨ですがこちらに分けて欲しいなどと祈って?います。
一方、先週は天気が続いたおかげで菜種の刈り取り脱穀、そして麦の収穫と順調に仕事がはかどりました。販売用ではなく自家用なので収量は間に合えば良しで気楽な仕事ですが、例年並みに食べきれないほどの小麦です。昨年の麦がまだ残っていますので、菜の花プロジェクトの仲間に鶏の餌にしてもらうことにしました。
昨年、小麦の製粉機が壊れ修復に時間がかかりあまり製粉できなかったのです。ようやく製粉できたのが5月になってしまいほぼ昨年の全量が冷蔵庫に在庫となっているのです。新麦を食べるためにも処分しなければなりません。連れ合いは「もったいない」というのですが、、、。
我が家のキュウリはうどんこ病が発生し多少アブラムシが付いていますが、収穫としては順調。注文に余るほど、近所にお裾分けできています。
今年は久しぶりに、生梅で梅肉エキスも作りました。青梅を摺りつぶし、その絞り汁を弱火で水分を飛ばして作ります。我が家の常備薬です。
今はちょうど冬野菜から夏野菜に切り替わる季節です。葉物類から果菜類の多くなる季節です。新じゃがやタマネギなども出始めます。ご期待下さい。
おかげさま農場・髙柳功
(産地の声)vol.1195 2015.6.9
サーズならずマーズというインフルエンザウイルスが韓国に流行して毎日のようにTV等で報道されています。それで思い出すのが私達農の世界もいろいろな害虫や病気が輸入されてきたなあ、と感ずることです。
グローバル化というのは世界中の物が流通することです。かっての日本的農の世界から大きく変わってここ4.50年でいろいろな物が日本に流入してきました。
オレンジの自由化から始まって、果物の、豚肉や牛肉そして鶏肉などの肉類、そしてそうした動物の飼料としてのトウモロコシやマイロといった餌類が今でも数千万トンという量が輸入されています。魚類も。
そうした影響なのか、隣の成田空港の輸入に混じってきているのか不明ですが、病気や害虫までも輸入されてきたように思います。大根を作ってもそれまで見たこともないような虫がついたり、トマトの温室コナジラミなどというのはいなかったのに天敵がいないからと大繁殖して防除の方法ナシと言われたりしました。
アブラムシも農薬耐性の種が暴れ回っていますが、これとて日本にいなかった種が舞い込んだかも知れないと思うのです。私が農業を始めた頃の40年前の頃にはレタスにつく虫などいませんでした。だから作るのも栽培だけ考えていればよかったのですが、近年は虫の繁殖が凄いのです。
人間の伝染病は騒ぎますが、自然界の中に潜む害虫や病気は問題にしないこの国ですが、ずっと疑問に思ってきたことです。日本の自然景観で欠かせない木。松の木は関東以西はほぼ全滅してしまいました。松食い虫のせいだとしていますが、果たしてそうなのか。
国は植物防疫体制をとってはいますが、全国で数百人しかいない防疫官で、輸入食材、木材などを加えると数千万トンという材を検疫できるできるのでしょうか。麦や米など穀物には虫がつきやすいので虫一匹でもいれば、燻煙という形で消毒されます。一方で、使われた化学物質が残留することも考えると食べる物や身の回りの人間生活に関わる物は、グローバル化という体制は合わないように思うのですがどうでしょうか。
安さばかり追いかけて夢中になるマスコミ、お金の尺度第一に考える風潮はいただけないと思います。ことは命に関わることであり、人間も環境に生きる生きものです。正体、素性のわからない物は持ち込まない方が賢明なのではないでしょうか。
byおかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1194 2015.6.1
自然は物を言わない。自然界に生きる生き物たちは遺伝子の命ずるまま?努めを果たそうと一生懸命生きているように見えます。
六月に入り私達の野菜も急に育ったような気がします。2週目からの予測だったのですがキュウリもトマトも採れだしました。カボチャはまだですが蔓が急に伸び出し、あわてて除草のための紙マルチを張ったり、作付けのあい間のトラクターをかけたり、雑草の勢いも急成長といったところなのです。
道ばたの草花は水仙、タンポポから始まり、チューリップ、ケシの花や(鑑賞用ですよ)黄色い雑草の花が次々と咲いて雑草であることを忘れます。グミも成り、畑の道草を刈りにいったら目の前にちょうど食べ頃の桑の実が成っていて、一口食べたらこれが美味しい!早速うちに帰ってホームスティーの娘さんたちに知らせてカゴを持っての桑の実取りなのでした。
山々は新緑いっぱいに葉を茂らせています。太陽が出れば一瞬にしてCO2と水で光合成を行い栄養を蓄えます。
人間のように文句を言ったり、不平不満を言うわけではありません.俺の物だと主張するわけでもありません。傲慢でもなく欲深でもなく、ただただ自分の努めを忠実に果たしています。
その恵みを遠慮会釈なく、略奪しているのが人間という生き物です。人間以外の動物は、自分のいのちの分だけです。山の木々は一年で約2トンの生成をすると言います。石油にせよ石炭にせよ過去数億年かけて植物の働きによってできたものです。それを人間は、数百年で使い切ろうとしています。
そして、使いすぎて地球温暖化という事態を招いています。さらに、人間同士が争い、殺し合いの道具として武器を使用し莫大なエネルギー消費をしてきました。戦争が最大の環境破壊なのだ、と識者は言います。
地球の生産力を超えた道を歩いている人間が、自然の生産力以上に消費することなく生きられたら人間も地球上の他の生き物と同じく生きることが許されるのではないか、などと田を歩き野良を眺めつつ思います。
ホウレン草や小松菜、そして小カブなど冬野菜は終わります。六月からはキュウリやトマト、ピーマンなどの果菜類、そしてジャガイモや玉ねぎなど野菜が衣替えの季節です。旬を食べる、とは季節の力一杯の生命力を食べることだと思います。今、キュウリ、トマトが美味しい!です。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1193 2015.5.26
ようやく私の田植えも終わりましたが、福島から避難してきたTさんは、30日に田植えをするのだという。福島には帰れずこの成田に住むことにしたというのですが、お墓は持ってこれない。汚染があるからだそうですが、一体終息というのはあるのでしょうか。
今、国会では集団的自衛権の議論が盛んですが、原発事故でふるさとに帰れない所にせよ、農的現場からすれば「何を言ってるんだ!」「国内の地方も農村も守れないくせに!」と言った論があります。
足元の国内問題の起こしたことさえ満足に元に戻せないくせに威勢のいい話しばかりが盛んです。法治国家と言うけれど、国会が法律を作り国民には法律を守ることを遵守させようとしているのに、国家を預かる人たちは法律違反をしているように見える。なぜなら国会議員や国を預かる人たちにとっての法律は憲法であるはずです。
戦争をしない、させない憲法を持ちながらまるで無視しているように見えます。どんな場合出られるとか、出られないとか。自衛隊の範疇を超えた議論をする政治家に、子供にでもわかる事を国の指導者が平気でウソをつく事にならないか、そんな事態のように見えます。
豊葦原の国であった日本。神に感謝し、お米を作り続けてきた国。伊勢神宮でも稲作りの儀式は春から秋まで延々と続いています。天皇家は千年を超える長い間一年も絶やさずお田植え祭をし、五穀豊穣を祈念しています。
自然に対する畏敬の念、そして自然の恵みがあって私たちの命です。人間は、人間単独では生きられないのです。自然の豊かさ、生態系の豊かさがあってこそ私たち人間の生存基盤が存続できることを忘れてしまっているように見えます。
インドでは熱波が、アメリカやメキシコでは大洪水が出て死者負傷者が出ているという地球の異常気象現象の解決に向けることこそ今取り組まねば為らぬ事のように思えるのですが、、、、.。
歴史の進歩とは人類が賢くなることだと思うのですが、社会の風潮はますます自分のことばかり、目の前のことばかりしか見えず欲望の限りを尽くそうとしているように思えてなりません。
今日初めてキュウリの収穫をしました。仲間のトマト農家も初収穫の日でした。人間以外の生き物は自然の摂理のなかで、人間は自らを律して生きてこそ生き続けられるのだと思うこの頃です。 byおかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1192 2015.5.18
代かきをした田んぼは美しい!三月から四月にかけて田を耕します。その後、川
から水を入れます。今でこそ灌水設備が整って蛇口をひねれば水が出る田んぼ
になってきましたが、その昔は、山から流れる清水と天水が頼りでした。
そうして集めた自然水を少しでも流さぬように鍬とまんのうと呼ぶ農具で畦を作り、
水が貯まった時を見計らって代かきが始まるのです。
水を入れることによって土が砕け、泥になります。泥になると水面のおかげで田ん
ぼの高低がわかります。高いところから低いところへ土を移動し、一枚の田が水平
になるようにすることで均一な田面になります。
そこに水が浮かび、その名の通り水の田になります。小さな池のようなものです。
水の濁り、土も落ち着くまで水を張りっぱなしにします。田植えが始まるまでには、
水の田の土も落ち着き、張った水も澄んできれいな水面となります。
その水面が美しいのです。朝日に照らされて鏡のようになって水面は、先方の村々
や森林などが鏡効果で、きれいに映し出されるのです。夕焼けの代田にシラサギが
降り立ち、ドジョウやザリガニ、カエルなどをつまみにきます。きれいに澄んだ水面に
鳥の足が着くと湖面から波紋が広がります。
ちょっと水を張りすぎると今度はカモが舞い降りてきてスイスイと田面を遊泳します
。そんな姿を観るのも中々いいものです。
また、水田に水を張ると、生き物が一斉に動き出します。小さなコムシから、オタマ
ジャクシ。夜中にはうるさいほどのカエルの合唱などが始まり、ザリガニも産卵しあ
ちこちに出没します。前述したようにそれを餌とする狙って鳥たちが来るのです。地上
からは、ヘビも出没します。
先日は、近所の子供が田んぼの水路でオタマジャクシ取りに夢中になっていました
が、「カエルになるまで飼うんだ!」などと水遊びのいい場となっています。
そうした代田の期間は長くなく、一斉に田植えとなりますので、そうなったら鏡はなく
なってしまいます。鏡から青田に変身します。植えられた稲が根付き、ぐんぐん育つ
姿もまた気持ちいいものです。
ただ、近代農業=効率農業になってからは除草剤の散布をはじめとする農薬が使わ
れ自然環境という面からはよろしくありません。生き物が一斉に死に絶えるのです。
人間の都合優先の栽培に疑問を持ちつつもそれが現状です。当村で無農薬栽培をし
てるのは私だけですが、いくらかでも仲間を増やしたいと頑張っています。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1191 2015.5.12
パソコンが故障し、修理に出してようやく復帰、です。野良仕事も忙しい中でパ
ソコンなんてどうでもいいや、などと思っていたのですがそうもいかないことがよ
くわかったのでした。
あくまで道具だ、と思っていたのですが、道具ですから必要なときないと困ること
がよくわかりました。この産地の声もこのパソコンを使っていたのですが、インター
ネットに繫いであるものですから、送ることができません。また仲間のみんなとも
連絡が取れず、ホームスティーの連絡もできず、多くの人にご迷惑をかけてしま
いました。
ちょうど春の作付けが忙しい時で、田んぼの田植え、そしてカボチャや、ナス、
キュウリといった野菜の植え付けに忙しい日々です。苗は徒長気味で遅れあまり
よい育ちとは言えません。
天気予報によれば、台風が接近中と言うことです。静かに通り抜けてほしいと
願っていますが、どうなることやら。
今年の天気は昨年と違い、4月から5月にかけて雨が降らず、作付けに支障を来
しています。畑が乾きすぎているのです。仕方が無いので、灌水ホースを使って
水まきしています。水まきした畑を耕耘し、畝を立てて夏野菜を植えました。灌水
のできない畑では、雨待ちです。
昨日会合があり、話題は「何時、雨が降るか」です。さつまいもや里芋など植え
付けるには「乾きすぎていて植え付けできない」と。トラクターで耕耘すると埃が
立ってしまうほどで「やらない方がまし」、のようです。
深夜のBSシリーズで地球の温暖化が放映されていました。全9回ありましたが、
全地球的規模での温暖化は、あるところでは殺し合いになるほどの水の奪い合
いが生じています。またバングラデッシュなどでは海水面の上昇で勝手の豊か
な農地が水没し、住むところもなくなっているという、といった深刻な事態が進ん
でいます。これは自然の営みを超えた人間の行為が原因です。
箱根の噴火もTVで度々報道されていますが、地球異変には人間の意志は
通じません。せめて人間の行為でやめられることはやめたいと思うのですが、そ
れが中々できないところが現代の大きな病のような気がします。
私達が無農薬や自然栽培に取り組むのも、自然の営みに寄り添って生きようと
する想いなのですが、中々伝わらないところが悩みでありつらいところです。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1190 2015.5.5
田植えの真っ最中です。今日でようやく半分くらいは植えたのですが、深い田ん
ぼがあり田植機がズブズブと泥に潜り始め全く動かず。家に帰ってワイヤーロー
プを持ってきてトラックで引っ張り上げました。
当然その場所は田植えにならずカラ田になっています。私の場合は無農薬栽
培の手段として紙マルチを敷きながらの田植えです。普通の田植えのようにスピ
ードを上げて植えるにはちょっと辛いものがあります。半分くらいのスピードでゆっ
くりと植えないと紙マルチが田面にピタッとつかず、うまく植えられないのです。
一方育苗ハウスにあるカボチャやなす、トマトがぐんぐん生長し徒長しつつあり
ます。これもなんとかしなければいけないのです。たぶん今日あたりは立夏で夏
を迎えています。気温の上昇と共に夏野菜が育つ季節になったので、あれもこれ
もと間に合わない様相です。ですが、タンポポの花や近隣のサツキや橙色の芥子
の花などが咲き乱れる野の花も中々きれいで楽しめます。
世間はゴールデンウイークと、何やらあちこちの観光が盛んのようですが私たち
にはお出かけには縁がなさそうです。と言うより農に携わって数十年となりますが、
5月の連休というものは経験した事がありません。
以前、薬師寺の高田好胤管長が、私らお寺に勤めるものはお正月3が日はもち
ろん15日頃まではおつとめがあり外に出た事はない、と言ったお話をされた事が
ありますが、それと同じだなあ、などと連れ合いと話しています。
人それぞれの役目があり、人それぞれに花あり、です。
今春キャベツが美味しい!農場の直売所「かざぐるま」も毎日完売という人気で
す。春の野のセリや、アスパラガス、スナップエンドウなども初夏の野菜として楽し
めます。自家用ですのであまりは直売所に多少出していますが、お客さんには申
し訳ないのですが届きません。もっぱら自分用優先なのです。
忙しい季節なので手が回らないのです。一年に1回だけの稲や麦などそしてサ
ツマイモや里芋などは植える時期に植えないと順当に育ちません。
人気野菜の筆頭である人参も冬人参が終わり、春人参がもう少ししないと収穫
になりません。あと1週間もすれば新人参が出そうです。
12月に蒔いてトンネルを掛け、間引きや換気作業などをして5ヶ月かかっての
人参です。初収穫は私たち農家にとっても喜びの瞬間です。
おかげさま農場・高柳功
(産地の声)vol.1189 2015.4.28
地域の田んぼは、ほぼ田植えが終わり我が家の田んぼと大きくやっている隣村
のAさんの分だけが残っています。村内の人と比べると10日から2週間遅いのです
が、4月6日に蒔いた稲は順調に育ち、緑の絨毯となっています。
田んぼに入ると、畦作りから始まって耕耘、代掻きと続きます。40枚の田んぼは
あちこちに点在しているので結構時間がかかります。用水ある田んぼはいいとして
も、ポンプで汲まないと水が確保できない田んぼはやっかいです。
一番山奥の田んぼのポンプがとうとう壊れ、、資材屋さんへ行ったら知り合いとば
ったり会い、その彼が言うには「ポンプの方がいいじゃない。家らの方は用水事業
をやって負担金が反当1万円はかかる。2町歩やっていたら20万円だよ。3~4万程
度のポンプ代の方が経費が安くすむよ」という。
最近は、高齢化とあまりの米価のおかげでやる人がいなくなっているといいます。
「あと10年もしたら田んぼだけでなく畑も荒れ地が増えて荒野になっちまう様相だよ
」と。考え得る話です。
今日の新聞で、TPPと集団自衛権がらみの事が書かれていました。結局の所、対
米従属のながれのようです。米国は日本に対しミニマムアクセス米として70万トンと
いうお米を余ろうがお構いなしに売りつけている(日本から見ると買わされている)の
に、さらにもっと義務で買えと言ってます。
秘密交渉というTPP協議が、大詰めを迎えているという事は買わされるのでしょう。
稲作を守ってきた農家として憤慨するのですが、為す術がありません。その上、日本
の自衛隊が米国軍の傘下に入るとうことでしょう。
日本の山河を守ってきたのは地方であり、農に携わってきた人たちです。農業専従
者の平均年齢が66歳という事から推測できる事は、あと10年もすれば、日本の山河は
壊滅的になる、と言う事です。稲作りはお米=米価という経済次元の問題だけでなく
地方の風景や国土が荒れる事を意味します。
対して米国の農家を守るために米国政府は力でTPPを推し進めるという構図に日本
側は受け入れてしまいそうです。かって米国の大統領は、自国の食糧を自給できない
のは国家とはいえない、と言ってましたが、この国の政治家は何も学んでいないので
しょう。がっかりするというか閉塞感いっぱいの世相です。
ようやく代掻きが始まり田んぼが鏡のようになる風景は好きです。心が安らぎ落ち
着くのです。
byおかげさま農場・高柳功
(産地の声)vol.1188 2015.4.20
昨日は、私達伊能地域の村祭りの日でした。市内中心部では、全国から集まる太
鼓祭りでしたが、私達は地元のまつり「おあそび」と呼ぶ村祭りです。
私達の村の歴史は古く千年以上は続く集落です。私達の郷社、大須賀神社の神
主がその歴史を語っています。伊能という村もかっては、引地、御手洗、宿、下口、
鶴巻、豪氏、東、倉の内、長岡、神代と言った集落があって、明治期から大正昭和
にかけて町村合併などの影響で、村も統合し伊能を4つに分けて今の4区が続いて
います。
その4つの区が交代で毎年「おあそび」と呼ぶお祭りをしてきました。今年は、当番
区と言うことで年内から相談し始め準備してきました。我が区は40戸足らずの一番
小さな区です。近年は、下座や神楽の後継者不足、祭りの花である女子や子供が
少なくなってきたことから中止しようという声もあったのですが、小さな区ながら村中
総出でその役目を終えることができました。
「五穀豊穣」「天下泰平」を祈願し、地域の安泰を求めて来た先祖の思いを今に繋
げるためのお祭りは間違っていないと今さら思います。今の時代は各人がそれぞれ
違った仕事をし、村内の行き来が少なくなっています。ですが、おまつりという行事
を通してお互いを知り、協力し合うことによって心の交流があります。それがなんと
言っても意味あることだと思うのです。お互いの心は見えませんがお互いの思いや
違い、そして分かり合うことの大切さを知る場でもあります。
特に、子供達にとって言葉では教えることのできない、よい経験の場になると思い
ます。年寄りから子供、そしてみんなで協力することを経験した者は大人になって
もその経験は生きると思うのです。
一方で、周りは田んぼの代掻きが進んでいます。早い人は植え始めていますが、
3月に種蒔きした人は苗が育ち田植え仕事が急がれます。
私は村で一番遅く蒔いたのでゆっくりしていたら、私の田んぼだけが耕してないの
で目立ちます。ムラの人から「何時始まるんだ?」などと言われています。
畑の耕耘やら、キュウリの植え付けなど畑の準備もあって、まつりモードから野良
仕事モードに切り替えていかねばなりません。お米作り農家の声は「やってられな
いよなあ」「もう採算があわないよなあ」などと愚痴っぽい話しかでませんが、それで
も田を耕し、田植えは進み、先は見えないけどやり続けるこのパワーはどこから来る
のでしょうか。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1187 2015.4.13
刺激的なメールが届きました。新規就農した種の保存をしなければ、という思い
で隣町で数十種類もの稲を作り続けている人がいます。隣町の農仲間であり、有
機の里の会で出会ったのです。是非見てほしいと以下のメールが届いたのです。
「今行われているのは農家の安楽死、いや、虐殺です」-窮地に追いこまれた日
本の農業、生き残りをかけた「民衆の農業」とは?・・・岩上安身による農業ジャーナ
リスト大野和興氏インタービューで語った言葉です。氏は、「もう、この先の見通
しは立たない」と応じた。ー紹介部分。
就農した隣町では高齢化とコメの暴落が進む中、稲作農家がコメ作りを諦めざる
を得なかった姿があり、耕作放棄地となって行く田んぼが急速に増えていく現実。
TPPから農協解体への流れは多くの農家に対して生きてゆく全てを奪うことは間
違いないのです。と憤慨しています。
せめて自分にできる範囲で稲作を続けよう、そしてコメ作りの営みの価値を発信
してゆこうと思います。というメッセージでした。
コメ作りや農家と言うことだけでなく農村が、地方が壊れかけ始めているのが現
状だと思います。それに輪をかけるのがTPPであり農協解体の流れだと強く思い
ます。弱肉強食の経済論理が幅をきかせて行くと言うことです。
今日の新聞です。地方選が始まって、その投票率の低下が第一面です。政治に関
心を持たないのではなく、政治に期待できない、信頼できない政治へと進んでいる
からですでしょう。沖縄の基地問題、オスプレイ配置、憲法改正、集団的自衛権、
など私達のあずかり知らぬところで大騒ぎしています。地方の現実や国民的課題や
悩みなどには目もくれずに、地方再生など付け足したように言ってるだけです。秘
密保護法、TPPなど秘密でやることを公言し、しかもご丁寧に秘密でよいという
法律まで定めると言うことはどういうことなのでしょうか
そういうことを市民国民は感じているからこそ低投票率になって表れているのだ
としか思われません。先日秋田県に行って来たというお坊さんが曰く、「髙柳さん
東北へ行って来たけど、やるせない、切ない思いでしたよ。伝統文化は危うくなって
高齢化、人口減少が続いて、そんな話しばっかりでした」と。
当地成田市でも、市街地はともかく農村地帯は東北と同じ流れが進んでいます。
中央と持てるものの都合が優先される社会へと進んでいます。他人事ではありませ
ん。今何をなすべきか、が問われています。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1186 2015.4.7
村の中では2週間も前に種蒔きが始まっているというのに、我が家は遅れて昨日
6日の種蒔きでした。モチ米やコシヒカリそして酒米と3種類の種蒔きをしました。
約千枚の育苗箱をハウスに並べます。
途中、昼ご飯を食べているところにお客さんが7名の団体です。定食屋さんを
やりたいという人達です。昼食は食べてきたということでしたが、野原でのお昼の
おにぎりなど残り物があったので食べてもらいました。最初は「お腹いっぱいなの
で、・・・」と言うことでしたが強引にお薦めしました。
自然の力で育った美味しい野菜を作りたいとの希望なので、「ともかく食べて見
て美味しくなかったら他でとった方がいいよ!」などと話しながらのお薦めでした
が、「お腹いっぱいなのに美味しく食べられました」と協力してくれた様子です。
その後種蒔きが残っていたので、「ついでに手伝いますか?」「やります。」とい
うことで苗箱入れや床土入れなど、手伝ってくれました。何を見ても珍しく感じら
れたようで、「凄い、こんな風にして種蒔きするんだね!」などとおっしゃる。
県内の柏市で営業を始めるということですが、車で約1時間はかかります。取りに
来てくれればいいのですが、スタッフが女性ばかりでちょっと無理。なので宅配で
よければ、と言う条件で折り合いをつけるしかなさそうです。
4月はお寺さんの行事が続きます。7日は旦那寺の「札打ち」という行事です。
近隣33ヶ寺を3日間かけてお参りします。そういう人達のために村内のお母さん
方が集まってきて、食事や食べ物を用意して参内者を待ちます。四国霊場巡りと同
じようなものと考えていいのでしょう。お寺で接待をするのです。
今年は参内者が少なかったので、おにぎりや混ぜご飯などいっぱい残ってしま
い、作ったお母さん方へのお土産になってしまいました。自分のことしか考えない
風潮の中、こうした行事が続いていることにほっとするものを感じます。
先祖供養を通して現世に生きる者としての感謝の心、供養する者も供養する人を
快く接待する心持ちがなんとも癒される思いです。
一方帰り道ではトラクターが動いていて、代掻きが始まっていました。田んぼに
水が入り、田面が水面になり始めています。田んぼも畑もいよいよ忙しくなります。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1185 2015.3.30
28日は3月の食と命の教室でした。参加者15名で午前中は、土の中で何がおき
ているのか、生きている土のミクロの世界をDVDで鑑賞しました。私達地上の生
きる物は、命を産み育てる土という力によって生かされています。
植物という生き物が成長し数億かけて、酸素を地上に供給し、数千年数万年か
けて土のかけらから命豊かな土壌を作り上げ、初めて地上に生き物が住めるよう
になりました。そうしてできた土は小動物、微生物の宝庫です。生成された物はや
がて分解され、新たな命を生みだす元となって再び命を誕生させます。
その神秘な土の中を探訪する映像でした。各種のバクテリア、カビ類、放線菌、
線虫類など実に多くの生き物がうごめいています。そうした分解と植物の根が共
生して植物が育ちます。そうして育った野菜やお米が私たちの命の糧となってい
ます。今も、これからもそうした命なくしては私達人間の命はありません。
午後は、実際の馬糞の堆肥を見て、厩肥と堆肥の違いなど見分してもらい、私
達の使っている有機肥料を使って畑に蒔いてキャベツの植え付けをしました。子
供も参加していたのですが、困るほどやる気十分でした。でもこの経験がきっと
将来の人格形成につながるだろうなあ、と思った時間でした。
29日は知り合いの種蒔きでした。播種機を持って連れ合いと出かけたのです。
最近は農村に人がいなくなり自然と規模が増えてきてます。私もそうですが、近所
や親戚など田作りをやめる人が増えて残っている人がやるようになっています。
先祖からの田んぼを荒らしたくない、隣に迷惑がかかるからといった理由で、経
済や利益主義の拡大路線とは違う形で進行しています。
500枚ほどの種蒔きで、話しは「ホントに自分たちができなくなったらどうなるのか
ね」「自給目標を下げると言う方針らしいけど、何なのかねえ」「何時までも輸入で
きると思ってるのかねえ」「中国が大量買いしてると言うけどそのおかげで日本が
買えなくなっているなんてニュースがあったけど大丈夫かねえ」などと座談会もよ
うの中で種蒔きを終えました。
製粉機もようやく稼働し、最初にできた小麦粉を食べたら、「この小麦粉はゴミく
さい!」と言われてしまいました。私も最初が機械掃除のつもりでしたので「やっぱ
りそうか」と言うことで破棄することに。2回目の小麦粉を教室で昔ながらの「すいと
ん」にして食べました。昔の味です。少々ふすまの混じった小麦粉ですがなつかし
い味がしました。私にとってはホンモノの小麦粉です。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1184 2015.3.23
ここのところちょっと肌寒い朝もありますが、小春日和を感ずるような日が続い
ています。木々の新芽が目立ちはじめます。春と言えば命の躍動の始まりの
季節です。自然の中で生きるという事は、自然とつきあうことです。
農に生きる私達は、人間の都合ではなく自然の生き物にあわせて生きること
になります。今はそういう感覚が中々理解されない世の中になりました。自然
の理から離れて生きている人が多くなったとも言えるかも知れません。
昨晩、連れ合いと「ターシャからの伝言~花もいつかは散る~」を観ました。
アーカイブ放送で録画してあったのです。ターシャは農業が好きでバーモント
州に土地を求め農業をして、後絵本作家として活躍した人でガーデニングをし
て生涯を終えた人でした。
センスオブワンダーということをレイチャルカーソンから教えられましたが、彼
女と通ずるところが有ります。チューリップを植える場面で「人は花を見るだけ
の人が多いけど、こうして植えて冬を越して春に花を咲くまでの時間がわくわ
くするのよ。」自然の営みと一緒になって生きることが楽しい、と言うのです。
現代は結果だけを求めてその途中や始まりを考えない風潮があります。私達
のことで言うと、今の季節田んぼの準備が始まりましたが、それぞれの家で種籾
の浸種が始まっています。積算温度100度を目安に水につけるのです。その種
籾はお米で言えば、千粒で20gというから一粒で0.02gしかありません。おかげさ
ま農場の人気野菜である人参の種はさらに小さくその10分の一以下です。その
小さな命が生み出す不思議さ、時間をかけ形を変えつつ成長する生命力、その
過程を楽しむ生き方にうなずけるものを感じます。
種を蒔いてから数ヶ月かけて形になるのですが、自然に寄り添い一日一日変
化や成長を楽しみながら、稔りや開花を感動を持ってその時を迎える。誰でも
どんな人でも「それは人の思い次第なのよ」とも教えてくれています。
私達のような凡人は中々そこまで行けないけれどその思いはわかるような気
がします。 そしてターシャの子や孫が登場するのですが、彼ら彼女たちがター
シャの想いや教えを引き継いでいこうとすることに感動をおぼえたのでした。
と言うことで、まもなく我が家の種の浸種が始まります。地粉の為の製粉機も
ようやく修繕が終わり、小麦粉も食べられる見通しがつきました。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1181 2015.3.9
一昨日7日は村の行事。オビシャの日でした。オビシャは、御歩射とか御備社
とか書いたりしますが、よくわかりません。当日は、ムラオサ(区長)が郷社であ
る大須賀大神に集まり、神主の祈祷を受けます。そこで五穀豊穣、天下泰平、
家内安全を祈願します。
本殿で各ムラから持ち寄った神棚、清酒、あられを添え祈祷します。神棚は
各ムラで伝承してきたものであり、あられはハネコと呼ぶ今で言えばポップコ
ーンで、当番が「種を切らさぬように」、と毎年交代で作り続けてきたものです。
祈祷の済んだ品々を持ち、ムラに(公民館に)持ち帰ります。そして机を用意
し、神社で祈祷した神さまを奉り、鶴と亀の作り物を飾ります。その後、集まった
各戸を代表するひとりひとりに配り、食します。
最後の締めは、その神さまの前での神楽舞いです。五穀豊穣、天下泰平、家
内安全、ムラの安泰、そして厄払いの舞いです。口上では、長きにわたって続い
てきた先祖の感謝し、今後も安泰であるようにと言った謡が入ったりします。
伝統行事として続けられてきたものですが、その祈願は正しいものだと実感
します。五穀豊穣は私たちの命が永遠に続くことを願う事ですし、天下泰平は
世の中が争いのない助け合いの世であることを、そして家内安全という健康で
生を全うできることを願うのです。そして、あらゆる災難=厄を追い払おうとムラ
で祈願する神楽舞いなのです。
そうしたことは日本中の各地で行われてきたことでした。大きいムラも小さい
ムラもあったでしょうが、各地でムラの興隆を願い、開墾し、道を作り、川を作り
それなりの豊かな地を築いてきたからこそ、その集合体としての日本という国が
あったのでしょう。数百年数千年という長い時間を繫いできた歴史があります。
思えば、ここ50年の高度経済成長という時代は、そうした伝統や文化を消して
きた時代だったように思うのです。民俗のルーツを想うこともなく、そして時代時
代に積み上げてきた伝統技術をないがしろにし、無形とも言える山や海、祖先
への信仰心を無為なものとして、非科学的などと無視してきました。
貧乏人は麦を食え、と言って国民の尻をたたき、全ては経済成長のためと邁
進してきた結果、人としての心を無くしてきたのではないか。そんなことを思った
ムラのイベントでした。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1181 2015.3.9
一昨日7日は村の行事。オビシャの日でした。オビシャは、御歩射とか御備社
とか書いたりしますが、よくわかりません。当日は、ムラオサ(区長)が郷社であ
る大須賀大神に集まり、神主の祈祷を受けます。そこで五穀豊穣、天下泰平、
家内安全を祈願します。
本殿で各ムラから持ち寄った神棚、清酒、あられを添え祈祷します。神棚は
各ムラで伝承してきたものであり、あられはハネコと呼ぶ今で言えばポップコー
ンで、当番が「種を切らさぬように」、と毎年交代で作り続けてきたものです。
祈祷の済んだ品々を持ち、ムラに(公民館に)持ち帰ります。そして机を用意し、
神社で祈祷した神さまを奉り、鶴と亀の作り物を飾ります。その後、集まった各戸
を代表するひとりひとりに配り、食します。
最後の締めは、その神さまの前での神楽舞いです。五穀豊穣、天下泰平、家内
安全、ムラの安泰、そして厄払いの舞いです。口上では、長きにわたって続いてき
た先祖の感謝し、今後も安泰であるようにと言った謡が入ったりします。
伝統行事として続けられてきたものですが、その祈願は正しいものだと実感しま
す。五穀豊穣は私たちの命が永遠に続くことを願う事ですし、天下泰平は世の中
が争いのない助け合いの世であることを、そして家内安全という健康で生を全うで
きることを願うのです。そして、あらゆる災難=厄を追い払おうとムラで祈願する神楽
舞いなのです。
そうしたことは日本中の各地で行われてきたことでした。大きいムラも小さいムラ
もあったでしょうが、各地でムラの興隆を願い、開墾し、道を作り、川を作りそれなり
の豊かな地を築いてきたからこそ、その集合体としての日本という国があったので
しょう。数百年数千年という長い時間を繫いできた歴史があります。
思えば、ここ50年の高度経済成長という時代は、そうした伝統や文化を消してき
た時代だったように思うのです。民俗のルーツを想うこともなく、そして時代時代に
積み上げてきた伝統技術をないがしろにし、無形とも言える山や海、祖先への信仰
心を無為なものとして、非科学的などと無視してきました。
貧乏人は麦を食え、と言って国民の尻をたたき、全ては経済成長のためと邁進し
てきた結果、人としての心を無くしてきたのではないか。そんなことを思ったムラの
イベントでした。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1181 2015.3.2
我が家の井戸は、庭の前母屋から20メートルくらいのところにあり、私達の命
の水になっています。井戸の深さは20メートル位で水中ポンプで吸い上げます。
ポンプで吸い上げた水は使い勝手をよくするため、いったんタンクに入りそこで
水圧調整がなされます。水を使い水圧が下がればポンプのスイッチが入り、反
対に水圧が上がればスイッチが切れると言う仕掛けが必要なので一坪足らずの
ポンプ小屋が設置されています。
そのポンプ小屋の先に自給野菜の小さな畑があります。ホウレン草や小松菜な
ど食べる分だけの栽培です。近いところにあるととても便利です。調理直前でも目
の前の畑に包丁一本持っていけば揃えることができます。これは農家の特権か
も知れません。
贅沢を言わなければ1週間でも2週間でも何も買わずに食べていくことができる
のです。お米や里芋、さつまいも、ジャガイモなどは貯蔵してあるし、葉ものは上
述のように庭先にあるのですから、そして味噌や醤油で味付けすれば一冬困りま
せん。
近年需要の多くなったものとして小麦粉があります。我が家はこれも自給しよう
と製粉機を設置して自家製粉してきました。長野からいただいてきた古い時代物
の製粉機です。が使い始めて20年となってフルイの網に穴が開き、昇降機という
木作りの部分が虫に食われボロボロになってしまいました。
で、修理にかかったのですが、これが中々で建具屋さんの世界で、難しい細工
なのです。適当な部材を探すのに一苦労し、元の部材のように加工するために必
要な工具の調達、そして肝心なそのワザが要求されます。
分解するとき慎重にして再現しようとするのですが、いざ仕上がってはめてみる
と隙間ができたり、やり直したりいっこうに進みません。小麦粉はパウダーになる
ので、隙間があるようでは洩れてしまいます。その隙間を埋めるためにどうしたら
いいのか。といったところで仕事がストップしています。
我が家の分だけでなく有機農家から製粉を頼まれているのです。数10キロの製
粉をやってくれるところは無くなっています。ロットの大きな製粉所では小さな農家
は頼みどころが無いのです。
そんなことで冬仕事でやってしまおうと考えていたのですが、春の作付けがせ
まってきています。3月になり気が急いてくるこの頃です。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1180 2015.2.23
ジャガイモの植え付けが待っているというのに、畑には麦があります。昨年の秋
には空き畑に一斉に麦を蒔いてしまったのでした。で、そのままでは植え付けでき
ないので小さな麦を鋤込んで植えるしかない、と耕耘しました。
緑がいっぱいの畑をトラクターに乗って耕耘していると、黒々と反転した土に小鳥
たちが寄ってきました。最初はセキレイです。鳥は目がいいのでしょう。私の耕耘
後をチョンチョンと歩き回り子虫を捕って食べています。私=人間には土と虫の見
分けがつきませんが、彼らはちゃんと見分けて食べています。オケラのようなミミズ
のような虫は土色っぽいのです。よく見つけるものです。
ゆっくりと耕耘していると今度は茶色っぽい鳥が来ました。セキレイより用心深く
何という鳥かわかりませんが、距離をとってセキレイと一緒になって探索してまし
た。ウグイスのようですが、、、。
帰り際にはカラスが来ました。関東のどこかでカラスが大量死したと言う報道が
ありましたが、餌にありつけなければ死に至ります。カラスが来たと言っても1羽だ
けです。少なくなってるのかも知れません。
野鳥のことを書いていて思い出したことがあります。ツバメがここ数年来なくなっ
た事です。先週ネオニコイドという殺虫剤のことを書きましたが、その農薬のせい
なのかも知れないと思ったのです。ツバメは生きている虫しか食べません。 田ん
ぼや野良の虫にその殺虫剤にかかっていたとすればその子ツバメが育ちません。
親鳥といえども体内に蓄積すれば死に至ります。なにせ長効きし、浸透性なので
すから。レイチェルカーソンが湖の小さな別荘に行って生き物のいない自然に出
会い「沈黙の春」を書きましたが、じわじわとそんな現象が出ているとしたら怖いこ
とです。
昨日は「食と命の教室」でした。始めて3年目になりますが、毎年希望者が増え
てきています。1年目は7.8名でしたが、2年目は12.3名で今年は18名です。何故希
望者が多いのかわかりません。私としては、私たちの命がどこから来るのか何が
大切なのか、一緒になって考える場を持とうと言うことなのですが。
事務局を担当する片岡君に「何故なのかねえ」と聞くと「それだけ食や命のことを
考える人が多くなってきたからでしょう」などと応えてくれ、「それでは答えになって
いないじゃない」と話したのですが謎です。それでも、農や食に関心を持ってくれ
ることは大変嬉しいことです。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1179 2015.2.16
14.15日と有機稲作の研修会に出かけてきました。栃木県での開催でしたが全国
から有機稲作に取り組む農家や関係者が出席し、お米だけでなく農薬のこと自然
環境のこと、放射能のこと、食用油のこと食品添加物のことなど内容が盛りたくさ
んの公開シンポでした。
主催する民間稲作研究所は、中国や韓国の農家と連携し有機稲作の研究活動
を行っています。国内でも理事長の稲葉さんは北海道から各県を回って無農薬稲
作の指導に当たっています。ダイオキシンという猛毒の化学物質を命育む田んぼ
に使っていいのか、との思いから教師を辞め無農薬稲作の技術研究に励み、頼ま
れれば何処にでも行く熱意とパワーを持った尊敬する人です。
今回の挨拶の中で、高校の教師時代の話しをされました。生徒にいかに食べ物
が大切か教えようと頭をしぼりったが、いまの学生は言葉では言うことを聞かない。
それで実際でわかってもらうしかないと生徒達と話し合って文化祭の行事に飲み
物での飼育実験をすることにしました。
マウスを使ってコーラの区、コーヒー牛乳の区、ただの水の区と3つの区を作り育
て始めたら、「自分でもびっくりしたんですが、コーラの区は1週間位で7.8等のマ
ウスがケンカを始め傷だらけになって全部死んでしまった。コーヒー牛乳の区は死
にはしなかったがケンカが始まり傷だらけが半分、ただの水の区は1ヶ月経っても
そのままで異常はなかった。そこから学ぶのはいかに水や食べ物が命に影響する
かという事だった、」と話されました。
そしていま起こっている農薬の事。今世界中でネオニコチノイドという農薬が問題
になっています。顕著になっているのがミツバチで、世界中でミツバチが大量死して
います。ネオニコイドという農薬は神経毒、残効性、浸透移行性という特徴があり、
長効きします。根から吸われ作物に入り込み毒性を発揮します。大げさに言えば毒
入り野菜やお米になるわけで食べた害虫?が死にます。ですからきれいな野菜に
なると言うことになります。
一方欧州やカナダでは使用禁止や制限を設け始めています。そんな中この国は
残留農薬基準を緩和するというのです。食品安全委員会がクロチアニジンの健康影響を
再評価し新基準案は国際基準を超え新たに16品目の基準も緩和する内容です
大衆野菜であるホウレン草などこれまでは3ppmだったものが40ppmまでは良しと
いう事になるらしいのです。どうなるんでしょう。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1178 2015.2.9
一昨日からフランスのリオンから来た青年がいます。1年の休暇を取って日本の
あちこちを歩いてきました。今朝のTVで昨年の外国からの日本旅行者は1千3百
万人を超えたという。その外国人の旅行者は観光と言っても観光地を回るもので
なく日本の普通の路地裏を回る自転車ツアーだったり、日本食を実際につくるツ
アーだったり日本の文化に触れるのが最高というのです。
私も若い頃から外国に行って来ましたが、どちらかというと地方の人達がどうい
う暮らしをしているのか、自然環境や歴史の違いなどに興味を持って旅をしてきま
した。そこから学ぶものは多かったように思います。
私のところには年間数十人と外国人が来ます。じっくり腰を据えて暮らしを体験
しながらという感じです。極端な人は成田空港から私の家に直行して1.2週間滞在
期間私の家だけで暮らし、そのまま成田空港で帰ってしまう人もいました。
娘が「私達のところだけでなくもっと他のところに行って日本を見たら?」とよく言
いますが「いいです!」という返事。日本人だったらいろいろなところに行こうとする
人が多いと思います。そこが違うのです。
どこからそういう違いが出てくるのか考えるのですがよくわからないのですが、傾
向としてわかるのは、日本人は旅行というのは物見遊山、観光そしてブランドの買
い物が旅と考えている人が多いということ。外国人は(全部ではありませんが)文化
的というかその自然や暮らしの中に流れているものを感じ取りたい、といった思いが
あるように感じます。
今日は、朝から大豆の選別をしていますが、手作業でコツコツとする仕事です。
機械でガーっとやってしまう農作業ではありません。そんな仕事を手伝いながらお
互いの国のことや友達のこと、お父さん母さんのことなど語りあいながら国の違い
や地方の事など語りあう場がよき交流の場となっているのでしょう。(勝手にそう思
っているのですが)
話変わって、節分を過ぎそろそろ一年の始まりの準備、種まきが始まっています。
人参やジャガイモの種まきが始まっています。人参は寒さがまだ抜けきらないの
で種を蒔いた後、ビニールでトンネルをかけています。ジャガイモは、マルチをか
けて種芋をいけます。トマトやナスの種まきも始まります。ナスやトマトはなり始め
るまで3.4ヶ月かかります。最初は気温や水分など気を遣いますが徐々に外気に
当てて自力で育つように仕上げることが肝要です。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1177 2015.2.2
何度も書いてきましたが、TPPです。TPPが大詰めを迎え早期締結を!という
論調が続いています。難航すると言うことはそれだけ問題が多いということです。
ならば今まで通りでも良いのではないか、と思うのです。WTO体勢が続いてさら
なる関税の撤廃などと言うことは地域の違いや文化の違いを取り払うと言うこと
でもあります。
個性無き競争と利益優先の国際社会?にして行こうとするものでしょう。日本
食が世界遺産になるときには本家本元の日本に日本食が無くなり、(世界標準
=アメリカ標準)日本人の大半が日本食を食べていない、という社会現象に進
んでいます。
お米は既に小麦食に取って代わりつつあるのに、さらにその交渉では強制的
にお米を買うことが条件として求められているそうです。理不尽だと思うのです
が、今でもミニマムアクセス米という形で77万トンというお米を義務?でアメリカ
から輸入されています。国内でも余っているからと減反政策がとられているの
に、さらに輸入義務を負えということなのです。
アメリカの米農家、精米業者のためには77万トンというお米を契約するかのよ
うに毎年買い続けていることに農家の間には、日本の国はアメリカ農家のため
の農政みたいだ、という話しがでています。自国の食べ物を自給できないのは
国家とは言えない、とはかっての米国大統領が言っていたことです。
TPP交渉というのは胡散臭い交渉です。秘密交渉というベールに包まれた交
渉です。単に農産物だけでなく医療や年金、保険など多岐にわたります。今農
協改革などと言われていますが、自主団体に対して国家が介入するなど民主
主義に反するものとして世界農業協同組合が日本に対して異議を申し立てて
います。
農協に体しての改革騒ぎは農協の貯金、共済事業の資金目当てが本音だろ
うと言われています。郵政改革の時と同じように郵便貯金が自由化?されてき
たように、です。世界の金融資本が自由にできるようにと改革するのがTPPの
究極的な目的のように見えます。
成田の片田舎からですが、強者優先で弱者を生み出す仕掛けが世界的規
模で襲い掛かってくるように思えてなりません。中央が、弱者である地方をさら
にその財を搾り取るシステムが進行していることは地方の衰退という現実が
証明していると思うのです。ここ数十年の地方の歴史は、経済の衰退であり
自然、環境の荒廃です。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1176 2015.1.26
早いもので2015年ももう1月の終わりとなっています。野菜達もそろそろ品薄
の季節になってきています。今朝は、さつまいもの生産者が紅アズマがもう終
わりそうだと話しに来ました。
当農場の場合、秋から紅アズマと紅はるかを出荷し3月からは千葉紅に品種
交代をしています。それは、品種の特性を生かしての出荷計画をしていたから
なのです。私達が食べて美味しい品種を季節に応じて、という思いなのです。
紅アズマという品種は、採りたてから美味しさがあります。紅はるかは近年の
品種ですが、甘みは強いのですがべっとりとした品種です。それで、好みに応じ
て取り扱ってきました。そして3月からは冬を越すことによって芋の糖化が進み
美味しさの出る千葉紅をと計画出荷してきました。
さつまいもは南方の原産ですので貯蔵温度は12度以上を保たなければ冬を
越せないとされています。そこで、私達は保温の効く土中深くにいけて貯蔵して
きました。最近は保冷庫をつくり保存する方法が増えてきましたが、いずれにし
ても保温しなければ持ちません。
で、保存するには大きな保冷場所が必要です。そして品種は分けますが、奥の
方に入れてしまっている場合は取り出せないということになってしまいます。秋の
畑から掘り出しそのまま芋穴にいけたものを、出荷の際には一つ一つ検分して
選別します。紅アズマのさつまいもが大きすぎて思ったより出荷に回せなかった、
と生産者が言うのです。
続いて千葉紅でも良いではないかと考えたのですが、芋穴の手前に違うものが
入っているので取り出せない。1ヶ月先にならないと、、、、ということなのです。
紅はるかは出せるので2月は紅はるかでいくしかない、との結論になりました。
そんなわけで2月のさつまいもは紅はるかだけになります。皆さんの好みもいろ
いろなのですが、とりあえずわかっていただきたいのです。
話変わって,今は寒中ですが、ネギや白菜など葉が寒さのため傷んで少なくなっ
ています。私達農家から見れば、見栄えは良くなくなってきていますがそんな時
の野菜は本当は美味しいのです。
見栄えだけの善し悪しではなく季節を楽しみ季節をいただくということも日本人と
して日本の野菜の本当の姿をわかってほしいと思うのですが、、、。中々難しいです。
2月から3期目の「食と命の教室」が始まります。時間のとれる方是非ご参加ください。
byおかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1175 2015.1.19
暦の上では明日20日が大寒で一年で最も寒い季節となっています。日本海側の
天気はその暦のように豪雪に見舞われていますが、ここ千葉県では比較的穏やか
な日々が続いています。
冬の畑はちょっとさみしい気がします。ホウレン草や小松菜など葉ものはあります
が、他は土色の景色が続いています。サニーレタスなどの寒さに弱いものはハウ
ス内ですが、大根や人参は葉が枯れ始めて土の中ですので緑が少なくなっていま
す。ゴボウなどはすっかり枯れ上がり芯だけが残っています。
さつまいもや里芋は防寒した土中に入っていますので掘り起こして泥をはたき、
選別調整して荷作りします。穏やかと言ってもちょっとでも風が吹くと寒さが身にし
みます。
しっかりと防寒着を着て、畑から野菜を運び、ストーブの入った作業場で荷作り
しないと体が持ちません。そのストーブの上にさつまいもなどのせて焼き上がった
らお茶をいただきながら焼き芋を方ばったりします。そんな時の芋はおいしいです。
湯気の上がる熱々の芋をほおばると体が落ち着きます。
今朝の我が家は芋ならぬ落花生の煎り作業でした。ガスを燃料にした煎り機械
でいるのですが、選別作業まで2時間近くかかります。煎ってから唐箕で選別し、
さらに作業場で手で選別してから、計量、袋詰め、袋とじの作業と成ります。
そんな始まりの時に就農して3年目の新規就農者がカップルで来ました。今度結
婚するという挨拶に見えたのです。度々家に来ていたのですが隣の佐倉市で就
農し、彼女と出会って3年目という。うれしい話しです。
まだ20代ですが、作物も順調に育てられるようになって、販売先も何とかできる
ようになり生活も目鼻がついて来たと言うことです。何とか手を取り合って頑張って
ほしいカップルです。
ここのところ、新規に農業をやりたい青年達が次々と結ばれています。農にそし
て自然の中で暮らしたいという願いを持った若手が増えています。一方で生活が
成り立たないためにやめていった人もみてきたので、心配でしたが、地に足をつけ
自立した若者が育っています。できることは応援したいと思っています。
いわば新規就農者はゼロからの出発です。会社や組織に頼ることなく、自力で
自然から学び、技術を習得し、かつ食べてくれる消費者と目の見える関係を築い
ています。今風に言えばバーチャルな関係でなくリアルな世界の創造です。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1174 2015.1.12
今朝の農業新聞に、「農水省、全中監査を低く評価」と一面に。農水省の説明資
料が、昨年や1昨年の同様の資料では高く評価していたのです。農協法改正のた
めには何でもやる、という方針のようです。
今農協に対してパッシングが行われています。低く評価というのは資本主義的価
値観の中での評価であり、TPPに向けての布石のように思えるのです。農協に対
する批判はありますが、農村、地方にとって農協の果たす役割は大きい。なぜなら
ば弱者の立場に立っていること。そしてなにより競争や利益ではなく、地方、農村
に暮らす人に寄りそい、思いやりを持った最後の団体であることです。
今、国が進めていることは、資本主義の国有化?であり利益優先の道です。歴
史を振りかえれば、地方のためと企業誘致をし、地域住民のためと称して商業施
設をつくって来ましたが、それは条件付きの話しでその条件が満たされなければ
さっさと撤退するものでした。それが今日の地方衰退、限界集落といった現実を生
み出しています。その条件とは、利益です。
利益を生み出さないとわかったとたん地域住民のことなど捨てて撤退する、とい
うのがここ2.30年に進行した現実です。資本主義というのは人間の暮らしや地方社
会のためといいながらも利益がなければ捨ててしまうということです。
人間のための経済なのか、経済のための人間なのか順序が違ってしまった社会
に思えて成りません。先人は、それぞれの地方に住み着き、自然や風土の中で知
恵を絞り暮らしを立ててきました。そういう知恵や工夫を顧みない時代になってしま
い、バーチャルなインターネット社会が蔓延しつつあります。
いわば実体のない、お金だけを追い求めて、それもうまくやろうという個人主義=
自分さえよければよいという価値観を生み出しています。思いやりやお互いを気遣
う心のない社会へと進んできました。近年の悲惨な事件はその象徴的な出来事だ
と思います。
私達は、大地自然の恵みの感謝し、先人の営みに敬意を持って生きることの大切
さを学んできました。自然に対する畏敬の念。その自然は地方に豊かに存在しま
す。そこに生きる人達あってこそ自然が守られてきました。そして同時にその自然
を守ってきたからこそ私達人間が生きてこられた、ということが問われるべきではな
いのか、と思うのです。農協活動は不十分なところもたくさんありますが、それでも
地方農村に住む人達にとってお金よりもよりどころなのです。
おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1173 2015.1.5
明けましておめでとうございます。
暦の紹介です。「日本の米カレンダー」《水文化研究所》を主唱する富永和子さん
というとても米を愛する方が編集するカレンダー。当農場と同じ地で同じ無農薬自然
栽培をするミミズの会と共同でカレンダーにしています。
<水田は文化と環境を守る>
米と日本人とは、母と子のように、太いきずなで結ばれています。日本の文化は
米作りの上に築かれ、国土の自然は農民によって支えられてきました。ところが今、
農業は危機に瀕しています。それはとりもなおさず、私たちが日本文化の土台を失
うということであり、山や川などの自然の環境も危うくなっているということです。先祖
達が営々として育んできたこの美しい自然と文化を、次の世代へ送るためにどうし
ても農業を守りたい。そんな思いでつくったのが、このカレンダーです。
このカレンダーを壁に掛け一年を送ります。お客さんにも差し上げますが、自分た
ちの暦として掲げ始め10年以上経ちます。毎年私たちの暦として作り続けてきました。
一方、昨年は「コメ展」が開かれました。その前の年に協力を依頼され、私の田ん
ぼを使ってスタッフの皆さんがお米作りを体験しました。
21_21DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団という、私には全
く縁のなかったところから話しがあり、日本の文化が消えようとしている中中で三千年
続けてきたお米つくりをテーマにしたい。そしてスタッフも実際の米つくりに参加しての
私の田んぼでのお付き合いがあったのでした。
そして昨年2月から6月にかけて佐藤 卓さん、竹村真一さんがディレクターとなり一
年かけて創作し「コメ展」としてミッドタウンで開催されたのでした。
日本という国が育まれてきた原点。気候風土はアジアモンスーン気候という地球の
雨が多く温暖な地域に住む人間にとって欠かせない食であり、命の源泉として広まり
そして気の遠くなるような時間をかけて営々と米作りが営まれて来たのです。それが、
現在は地球の裏側から、世界中から食料を運びついには、お米よりも小麦の消費量
が上回るほど日本人の食が変わってしまいました。
それと合い並行?するかのように日本文化が消滅への道へと進んでいます。日本
人のアイディンティティが何であったのかも判らないままでいいのか。新年に思う心
境です。 byおかげさま農場・高柳
(有)おかげさま農場
〒287-0204 千葉県成田市伊能215-1
TEL 0476-73-7566 FAX 0476-73-8588
営業時間:(月)(火)(水)9:00~15:00 、(木)(土)(金)(日)9:00~12:00 ※端境期の9月~10月は全日9:00~12:00と営業になります。
直売所かざぐるま
〒287-0204 千葉県成田市伊能220
TEL 0476-73-6570(4~9月 13:00~18:00 10~3月 12:00~17:00)